2011 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀先進資本主義国における都市再生の新動向に関する地理学的研究
Project/Area Number |
22520797
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤塚 吉浩 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (70274347)
|
Keywords | ジェントリフィケーション / 都市再生 / 21世 / 新築のジェントリフィケーション / スーパージェントリフィケーション |
Research Abstract |
平成23年度には、東京特別区部における2000年代前半の専門的技術的・管理的職業従事者の増加率が、30%を超えて最も高い中央区を事例として詳細に検討した。中央区では、1980年代の投機的土地売買により居住人口が減少したため、居住人口確保を目的として、1985年に中央区市街地開発指導要綱を制定し、大規模な開発には住宅附置が義務づけられた。住宅の確保に効果はあったが、新築された共同住宅の家賃が高く、従前の借家人は入居できず立ち退きとなる問題があった。住宅附置義務により増加した共同住宅の多くは、単身者用であった。住宅附置義務制度は、規制緩和された建物の高さに関する建築紛争の多発により2003年に廃止された。2003年に中央区は小規模住宅の供給に関する住宅施策の変更を行い、10戸以上の共同住宅の場合の建築規制の緩和には、床面積が40平方メートル以上の住宅が3分の1以上となるように変更された。このため、床面積の広い住戸を含むより規模の大きな共同住宅が増加するとともに、価格の高い住宅が増加した。これらの住宅は、地域の従前の居住者が入居できる価格水準のものではなく、高所得のホワイトカラーの居住者が増加する要因となった。 平成23年度には、ニューヨーク市のブルックリン区における現地調査を行った。イースト川沿いの近隣において、以前にジェントリフィケーションが進んだところに、より裕福なジェントリファイアーが来住する、スーパージェントリフィケーションが起こっている。また、イースト川沿いの北部では、衰退した工業地域の用途規制が変更され、大規模な共同住宅開発が行われた。これらの地域は、地下鉄駅もありマンハッタン島への通勤にも便利がよいため、ホワイトカラーの来住が多くなり、中小工場の集中していた地域にも、カフェやレストランなどの店舗が増加するなど、ジェントリフィケーションが進行することとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京、ニューヨーク市の現地調査を実施し、ロンドン、大阪の調査準備も進んでいるため、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、統計資料の分析を行い、ロンドン、大阪の現地調査を行うとともに、その成果をとりまとめる。 平成25年度には、4都市の比較検討を行い、ジェントリフィケーション発現の都市再生に与える影響を考察する。
|
Research Products
(2 results)