Research Abstract |
第1に,三重県亀山市を調査対象地域として,2000年代前半の液晶企業の立地を契機とする工業都市化の過程を多角的に検討した.亀山市に液晶企業が立地した経緯を,企業の立地戦略と地元自治体側の誘致活動の両面から検討したうえで,企業立地に伴う地域への影響について,雇用,関連産業の集積,従業員の居住,税収等の面から論じた.その結果,液晶企業の誘致により,雇用や税収の数量的な面での数量的な効果が認められる一方で,労働力構造(非正規雇用の比重の高さ,地元採用の少なさ,市内定住者の少なさなど)や産業構造(域内リンケージの弱さなど)の問題を抱えていることが判明した.加えて,2008年のリーマンショック後の非正規労働者の削減が大きく,市内で民間賃貸住宅の空室が増加するなどの影響が生じていることも伺うことができた.これらの結果は,国際学会で発表し,論文にとりまとめた 第2に,亀山市において,工業労働者の定着過程と居住状況に関する実態調査に着手した.前者については,過去に行われた労働者に対する実態調査結果のデータ整理を実施した.後者については,工業労働者を主たる顧客と想定した民間賃貸住宅が近年大量に建設されて都市景観が変化していることから,民間賃貸住宅の分布変化を公的データや地図から検討した 第3に,地域間比較のため,2000年代前半に自動車組立工場が立地した大分県中津市での資料収集を行った
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