2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦後の沖縄地域における「域内移民」とそのディアスポラに関する地理学的研究
Project/Area Number |
22520799
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 守人 熊本大学, 文学部, 名誉教授 (30015581)
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Keywords | 経済・社会事情 / 生活空間 / 生活様式 / 社会学 / 文化人類学 / 社会地理学 |
Research Abstract |
本研究は、1948年11月立村の住吉集落(竹富町)から1957年6月立村の於茂登集落(石垣市)までの西表島5石垣島17の琉球政府計画移民村を対象に、これらの存〓過程並びにそのメカニズムを、主なる経済基盤である「土地」の開墾・取得・利用状況とそれらの変化状況から、また入植当初時からのコミュニティーの形成状況・その後の変質状況から、さらに八重山・沖縄の政治・経済・社会等の転換状況から、それぞれ説明ないし構築することを目的としている。基礎資史料としては石垣・竹富西市町の保存する『土地台帳』・沖縄県の所蔵する『一筆地調査図』・沖縄県公文書館の保管する『琉球政府文』を主に利活用している。これらの解析はなお緒についたばかりであるが、本土における戦後の「緊急開拓」と較べると主な相異点は、開拓入植の主要動機に、米軍による私有地の強制収用があること、入植先が旧軍用地や国有杯野地ではなく、殆んどの場合、近世・近代に一度ならず開墾の手が入り、風土病とまで言わたマラリアの蔓延で廃村放棄された土地の原生林化した民有の未墾地の解放地(政府買上げ後、八重山開発事務所による逆路・用水路等の若干整備を終え、入植者に10年間無償貸与。そののち、借受者に優先有償分譲)であったこと、また入植の仕方が「集合開拓団」結成型で、その構成には小字よりも空間単位の小規模な生活空間で、強い郷友精神を共有している同一の"部落"の出身者が必す過半以上を占めていること、さらに市町村単位で捉えた出自地の数が多くなる移民村ほど、開墾等の様式が「共同開墾個人配分」のかたちから「個人開墾当事者占有」のかたちに移行している傾向が窺えるこくなとが挙げられる。これらの実証は、平成23年度から開始する各集落への現地踏査によって、より緻密になされるであろう。
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