2010 Fiscal Year Annual Research Report
カナダにおける日系ガーディナーの歴史的展開と他民族との関係性をめぐる研究
Project/Area Number |
22520808
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河原 典史 立命館大学, 文学部, 准教授 (60278489)
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Keywords | カナダ / 日系 / 移民 / ガーディナー / 民族 |
Research Abstract |
本研究は、カナダにおける日系(日本人)ガーディナー(Gardener:庭園・造園業)の歴史的展開を20世紀初頭から4期にわけ、民族産業(エスニック・ビジネス)としての成立とその再編について考察する。特に、ブリティッシュ・コロンビア(以下、BC)州を中心に、当地への日本人(日系人)の移住、アメリカ合衆国・ワシントン州との人的・技術的交流にともなう庭園・造園技術の移動と定着、中国・インド・ベトナム系などとの関係について、歴史地理学的アプローから明らかにする。 平成22年度では、資料やインフォーマントの関係から、第2期について、特に1863(慶応元)年に福井県遠敷郡熊川村河内で生まれた中村源六の活動を調査した。彼は、1904(明治37)年に源六はハワイへ渡り、その後、カナダへ転航した。伐木業で貯えた資金をもとに、彼の事業は園芸農業、とくに花卉栽培へと発展した。 父・源六の農業技術を発展的に継承した源松の農業経営は、先進的であった。つまり、(1)当時の白人農業経営者に普及していた温室や養樹業に注目し、園芸作物の栽培が試みられている。(2)同一の農地に同一作物を続けて栽培することによって生じる連作障害に、彼は警鐘を鳴らしている。さらに、(3)トラック輸送による、ロッキー山脈の東側のオンタリオ・マントバ州への輸送園芸が推奨されている。そればかりではなく、(4)日本の農業組合のような金融組合の設立までも、視野に置かれている。そして、後に母・りゑが経営する花屋に自ら栽培した花卉を卸す、という直売方式が実践されたのである。
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Research Products
(3 results)