2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける日本人経営者の立地選好と企業の成功に関する研究
Project/Area Number |
22520809
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
SCHLUNZE R.D 立命館大学, 経営学部, 教授 (70319599)
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Keywords | 多国籍企業 / 異文化経営 / グローバル化 / 立地戦略 / 現地適応 / ハイブリッドマネジャー |
Research Abstract |
【方法】東洋経済新報社の外資系企業総覧に掲載される在ドイツ日系企業の日本人経営者334人に対してアンケートを実施し、a)立地選好、b)文化適応、およびc)ネットワーキング行動について調査した。回答者は97名、回答率は29%であった。アンケート回答者のうち20名強の経営者に対してさらにインタビューを行い、オンスクリーンのコンジョイント分析を用いて企業環境、市場環境、生活環境それぞれの立地選好の分析、およびネットワーク戦略について調査した。 【結果】調査結果の分析から、異文化シナジーを創出する日本人ハイブリッドマネジャーは人的資源へのアクセスおよび新たな市場機会に対して強い選好を示すことが分かった。一方、海外派遣マネジャーの成功は親会社との関係および企業内ネットワークの協力に影響され、ハイブリッドマネジャーよりも政府のサポートに対する選好が強い。海外派遣マネジャーは企業環境を重視しているのに対し、ハイブリッドマネジャーは市場環境と生活環境を重視し、親会社から比較的独立してドイツ子会社を経営しているといえる。 ハイブリッドマネジャーが異なる選好を示すのは文化変容が進んでいるためである。そのため、市場機会を自分で理解することができ、親会社から独立した意思決定ができる。このタイプのマネジャーは人的資源へのアクセスを強調することが多いが、隠れた選好として現地子会社での職場の雰囲気を重視していることが分かった。サプライヤー、顧客、研究機関との製品やサービスの共同開発に対する選好を持っていることも重要な点である。ハイブリッドマネジャーは自分の任務にたいして長期的な戦略をもっているため、住みやすい生活環境や情報ネットワークを重視し、仕事以外でも異文化環境について学んでいる。
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