2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520811
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
原田 洋一郎 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (90290725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 達也 大東文化大学, 経済学部, 准教授 (50307138)
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Keywords | 中近世移行期 / 石見銀山 / 地域形成 |
Research Abstract |
本研究では、16世紀半ばにおける石見銀山の本格的開発を契機とする新たな地域形成の展開を具体的に明らかにすることを目的としている。本年度は、石見銀山の周辺地域における拠点集落の事例として、まず先行研究や史料が比較的豊富な温泉津町、宅野町を主な対象として、文書収集、地籍図等を用いた景観復原、寺院の檀家調査などの実地調査を実施した。前者は銀山の外港としての機能を果たし、既往の研究においてもしばしば取り上げられており、後者は銀山への鉄製品の供給地として成立したと伝承される港湾集落である。これらの調査を通じて、銀山の本格的開発を契機としたと考えられる他地域からの人びとの流入、遠隔地との交流の実態や銀山衰退後の展開について、具体的なあり方を把握することが期待できる資料が集まりつつある。 このほか、宿場町、中世城下町、口番所の置かれた村といった、異なるタイプの拠点集落についても検討する必要を意識し、以上と並行して、いくつかの集落について基礎調査を行った。従来、石見銀山と周辺地域の関係といった視点からしばしばとりあげられてきたのは江川下流と日本海沿岸にはさまれた地域の多くであったが、本年度の検討を通じて、内陸部、とくに雲石国境の地域に注目する必要を強く感じた。地形や関係位置の違いはもちろんのこと、前者が中世末には小笠原氏の勢力圏であったのに対して、後者は佐波氏の勢力圏ということもあり、銀山の本格的開発とその後の展開のあり方が、日本海沿岸地域などとは大きく異なっていたことが予察されるためである。
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