2014 Fiscal Year Annual Research Report
植民地後和解の人類学的研究―ドイツと旧アフリカ領との関係を事例として
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22520813
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小田 博志 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30333579)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歴史和解 / 平和研究 / 植民地主義 / ドイツ / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
9月に約3週間ドイツを訪れ、多様なセクター(市民社会、大学、政府)に関わる人々とのインタビューを実施すると共に、文献・映像資料を収集した。今回の調査で力点を置いた問題と、それに対して明らかになったことの要点は以下の通りである。 (1)「自然民族/文化民族」の二分法とその超克:この二分法は、歴史的には社会進化論、植民地主義およびレイシズムと結びつき、両項間の非対称性を特徴とする。この問題についてラトゥールの『虚構の「近代」』等を参照しながら理論的考察を進めた。同時に、以下で挙げる「声を聴く場」や「返還」が、対称性を回復する実践として位置づけられることが明らかになった。 (2)「植民地の他者」の声を聴く場の形成:上記の非対称的な二分法を越えるために、植民地の他者の声を聴くことの意義が様々な局面で強調されている。例えば2004年にナミビアで歴史的なスピーチを行った当時の連邦経済協力開発大臣の姿勢や、文献『収集・研究・返還?』(Stoecker H., Schnalke T., Winkelmann A. eds., 2013, Sammeln, Erforschen, Zurueckgeben?, Ch.Links.)における引用の仕方にそれは表れている。これは「(他者の声の)歓待」という概念で考察可能である。ナミビアの当事集団が求めている「構造的な対話の場」は、しかし、政治レベルでは実現せず、インフォーマルなレベルで実践されるにとどまっている。 (3)植民地由来の遺骨と文化財の返還:ドイツの研究機関からナミビアへの返還のプロセスについて、市民社会、政府、大学のそれぞれの関係者とのインタビューを実施した。歴史の他者との間で媒介の役割を果たすような返還のあり方についての知見を得ることができた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)