2012 Fiscal Year Annual Research Report
タイ社会における「共同性」の人類学的研究-社会運動経験の記憶の生成を通じて-
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22520816
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
西井 凉子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 共同性 / 社会運動 / タイ / 記憶 / 民主化運動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間が他者とともに日常生活を送る社会的動物であるということを、その共同性の根源をめぐって、「共同性」の極限ともいえる、沸騰した社会運動の記憶の現在における語りを通じて、社会性の根源の「共同性」をタイにおけるフィールドワークを通じて探求することである。 1 今年度も、北タイの「森に入った」経験者のライフヒストリーを含めたインタビュー調査を行い、その経験の語りを収録した。また、語りの状況をビデオにとり、記憶語りについての分析のための資料を収集した。 2 タイとラオスの国境沿いにある元森の中の共産主義者のベースキャンプのあったPhu Chi Fa及び北タイと東北タイの境にある Khao Khoを訪れ、元森に入った人々の運動経験についてインタビューを行った。その多くはモン族の人々で、現在に至るまでかつての共産主義運動当時からの問題が続いていることが分かった。 3 タイの音楽シーンにおいて重要な位置を占める「カラワン」の主要メンバーであるスラチャイ氏はかつて「森に入った」経験をもつ。森の中においても音楽活動を行い、森から出た後もタイ社会に大きな影響力をもっている。今年度の調査では彼にインタビューを行うことができた。 これらのデータから、本年度は特に、理論的目的の記憶の現在性について、具体的な経験の語りから考察をすすめることができた。かつての民主化とその後の「森に入った」経験が、彼らの現在性について持つ意味についての考察をタイの現状の動向も注視しつつ進めつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地においては、すでに昨年度調査を行った「森に入った」経験者からの紹介で、さらなる経験者へとすでにあるネットワークを活用することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査は、初年度が南タイ、2年目が北タイ、そして3年目が北タイと東北タイと地域を変えてすすめてきた。多くは8月に調査を行ってきたが、地域によっては雨季のため移動が困難となるため、そうした地域に入る場合には、雨季をさけて調査を行う必要があろう。今年度は、現地の状況について問い合わせたところ、かつて徒歩でしか入ることができなかった森であるが、現在はすでに舗装された道路が開通して、車で入ることが可能であるとの情報を得ている。
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[Presentation] Is a new community emerging? - the social movement in Thailand2012
Author(s)
Ryoko Nishii
Organizer
Colloque international Explorations anthropologiques sous les perspectives micro/macro
Place of Presentation
Ecole Supérieure d'Art de la Réunion et Département d'Anthropologie de l'Université de la Réunion ,Saint-Denis-la Réunion
Year and Date
20121122-20121123
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