2013 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル国の牧畜における資源利用の社会的ネットワークの研究
Project/Area Number |
22520817
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
上村 明 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (90376830)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 牧畜 / コモンズ / コミュニティ / 社会ネットワーク |
Research Abstract |
2013年8月、ボルガン市とエルデネト市およびその周辺で、米国ミレニアム・チャレンジの援助で創設された牧民グループと同プロジェクトの元スタッフへの聞き取り調査を行なった。この調査によって、資源利用の社会的ネットワークは、1990 年代以降、親族関係だけが顕著になりその他の関係は希薄になっていることが再確認されるとともに、牧民グループによる牧地保有プロジェクトというスキームが、土地の有力者や都市の資金をもつ者たちによって、資源を占有する手段として利用されている複数の事例を観察した。 同年9月には、西部のホブド県ドート郡において約半月の牧地利用を中心にした参与観察を行なった。この調査では、気候の変動、人口動態、そして牧民の人生ステージによって、牧地利用の実態が変化するだけでなく、牧地保有に対する意識も変化していくことが参与観察と聞き取り調査で明らかになった。 2013年8月、ボルガン市とエルデネト市での調査に先行して、モンゴル国の中でもとりわけ草原の状態がよいとされるボルガン県において、5つの牧民世帯で移動と生計を中心に聞き取り調査を行った。この調査では、夏さかんに行なわれている馬乳酒の生産が、移動や社会ネットワークの形成・維持に影響していることが示唆された。そして、牧地など自然資源利用のネットワークに加えて、より包括的な社会ネットワークの把握が重要なことが確認された。 上の結果を総合することで、国際開発援助によって外から持ち込まれた牧地保有の概念が、実際の牧地利用のネットワークにどう働きかけどう具現されるか、その過程でどのような要素がどのように作用するか、より明らかになった。この3つの地点での調査の結果を、周到な方法で重ね合わせることによって、それぞれの実態の理解がより明確になったのである。本研究の成果は、今年度中、2回の国際学会、2回のその他国内学会・研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)