2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520821
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 邦光 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30214696)
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Keywords | 家族写真 / 肖像写真 / 写真館 / 民俗学 / 文化人類学 / 宗教学 / 風俗 / 行事 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本・沖縄、韓国、台湾、中国を中心として、東アジアの家族写真を比較研究することによって、各地域に見られる家族写真の独自性・共通性を探究し、家族に関する意識や倫理的・思想的観念、文化的・民俗的・宗教的な慣習や行事における類似点や相違点を明らかにすることである。今年度は2回の研究会を行った。第1回は7月16日、大阪大学で五十嵐惠邦(研究協力者・バンダービルト大学歴史学部準教授)が写真における身体の表象に関して、丸山泰明(研究協力者・国立歴史民俗博物館特任助教)が渋沢敬三の還暦写真集『柏葉拾遺』に関して研究発表をした。第2回は8月8日、北九州市立大学で川村邦光が年賀状の家族写真に関して研究発表をした。 9月10日から13日にかけて、韓国ソウルにおいて、全成坤(研究協力者・高麗大学校日本研究センター研究教授)、大阪大学大学院生、2名の協力のもとで、韓国の家族写真の調査を行った。ソウル写真博物館や国立民俗博物館、国立中央博物館では、朝鮮の植民地時代の写真に関する資料を収集することができた。朝鮮では、1870年代中頃に中国や日本を通じて、写真技術が導入され、1880年代初頭に写真館が開設されて、写真が次第に普及し始めている。また同じ頃、日本人で横浜の写真師が朝鮮へ移住して、写真館を開業している。この時期に撮影された写真は肖像写真が主であり、その後に外国人向けの観光土産用に名所や生活光景を撮った風俗写真が現れ、今日でも数多く残されている。家族写真が現れるのは、日本と同様にやや遅れている。肖像写真では、特に高宗皇帝の朝鮮式服や軍服姿の写真が残っているが、撮影年木明だとされている。以上のように、朝鮮における写真の誕生や普及の経緯・過程を少なからず明らかにすることができたところに、今年度の調査および研究の意義があったと考える。
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Research Products
(1 results)