2011 Fiscal Year Annual Research Report
シャン民族の仏教実践における口承-書承関係についての文化人類学的研究
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22520822
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 忠良 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (50334016)
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Keywords | シャン / 口承 / 書承 / 仏教 / 儀礼 / 文書 |
Research Abstract |
本研究は、東南アジア大陸部のタイ系民族シャンが有する口承と書承の文化的実践の関係を手がかりに、シャン仏教における仏教書を使った諸実践と口承の仏教実践との関係を明らかにすることを目的としている。今年度は、シャン文字で書かれた仏教書の運用形態を明らかにするために、タイ国北部にて仏教文書を取り扱う在家の知識人らについての聞き取りを行った。調査項目は以下の2点である。 1.仏教文書の特徴について。 シャンの仏教儀礼で朗誦される仏教文書は、独特の韻文体で著作されており、その韻文の構造について聞き取りをした。これらの聞き取りから、押韻の種類は同一でも、作者によって韻文の形式が異なっていることが明らかとなった。これまでほとんど研究がなされてこなかったシャン語韻文の基本的な様式を把握することができたことは大きな成果である。 2.タイ国北部で活動する仏教文書を取り扱う在家の知識人についての個人史調査 近代教育の浸透によって、民族固有の伝統的文字知識継承が難しくなっていている状況下で、仏教文書を取り扱う在家の知識人の個人史の聞き取りを行い、教育経験、出家経験、移動経歴、活動年数、活動内容などのデータを収集した。これによって、在家知識人像の全体的な把握を行うことができた。現在文書の朗誦活動している在家知識人のなかで、特に国境を越えてミャンマー連邦シャン州から移住してきた者が多いことを明らかにすることができた。この点については、京都大学の地域研究情報統合センターのディスカッション・ペーパーに成果をまとめて、公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の特徴は、シャンの仏教実践を口承と書承という二つの観点から分析することである。今年度は、シャンの仏教文化で重要な役割を果たす仏教文書について、その韻文の様式について基本的な情報を収集し、仏教文書のなかで継承される「口承性」の把握をすることができた点、また仏教文書を運用する在家知識人の活動についての情報を収集し、その活動の特徴を明らかにし、書かれたテクストだけではなく、テクストの運用の実態に迫ることができた点で、研究計画はおおむね順調に進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、仏教文書の読み上げられた音声データの収集と、その元となるテクストの収集を進め、在家知識人の活動に見られる文書を前提とした「口承性」をさらに詳細に検討する計画である。これらの在家知識人の有するシャン文字知識にみられる「口承性」と「書承性」を総合して検討する予定である。
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Research Products
(2 results)