2012 Fiscal Year Annual Research Report
ワークライフバランスをめぐる政策と実践の人類学的研究:オランダの事例から
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22520823
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中谷 文美 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90288697)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | オランダ / ワークライフバランス / ジェンダー / 社会政策 / 労働 / ケア / 仕事観 / 生活時間 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、今年度もオランダ都市部を対象とするフィールド調査および研究課題関連文献調査を実施した。本研究において、現地での調査は本年分が最終となるため、これまでの調査で十分に得られなかったデータや、データ分析を通じて新たに課題として浮かび上がってきた事項に関する追加収集を中心に行った。 フィールド調査としては、すでにインタビューを実施した対象者のその後の就業形態や家族生活状況の変化を把握するため、5組の追加インタビューを実施した。また、公的機関での子どもの養育実態や家庭内保育との併存状況、出張や残業を含む職場の慣行、新しいスタイルのオフィス・シェアのあり方、親族や友人との関係維持の方法や頻度など、広くオランダ人の「ワーク」と「ライフ」にかかわる多様な要素のなかで、重要と考えられる事項についての情報収集を参与観察を中心に行った。そのほか、ライデン大学付属図書館、王立図書館などを通じて、19世紀以降の家事マニュアルを中心に、関連文献の収集にあたった。 国内では、ILO駐日事務所において、オランダを含むEU諸国の労働時間、男女別年齢階梯別労働力率の年次推移に関する統計データを入手した。 これらの調査成果を踏まえ、全体的な分析を開始し、研究成果として来年度の刊行をめざしている単著の執筆作業に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査内容はほぼ網羅することができ、関連文献についても、必要なものについてはすべて収集が終わっている。 データ分析も、順調に進んでおり、来年度には成果のとりまとめが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる25年度には、研究成果発表のひとつとして、世界規模の国際学会であるIUAES(国際人類学民族学ユニオン)の世界大会において口頭発表を予定しているほか、「仕事の人類学」論文集の編集・執筆、単著の刊行を予定しており、いずれにおいても、今年度までに収集したインタビュー調査データおよび文献データの分析成果を活用する。
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