2012 Fiscal Year Annual Research Report
周縁化する島嶼社会を支える「島での生活」の意味と価値
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22520824
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北村 光二 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20161490)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ミクロネシア連邦 / ヤップ島 / 島嶼社会 / 持続可能性 / 意味と価値 / 当事者性 |
Research Abstract |
本研究は、ごく限定的な資源利用にとどまらざるをえないという条件を抱える島嶼社会を対象に、「島での生活」が今後も維持されるようになるために不可欠な条件とはなにかを考えるという観点から、人々が島での生活に見出すべき「意味と価値」を明らかにしようとするものである。本年度は、ミクロネシア連邦ヤップ島におけるまとめの現地調査を行ったが、その調査期間中に、中国企業による大規模なリゾート開発計画が発表されるという、この島の将来の大きく左右するような重大な出来事に遭遇した。そしてこの計画に州知事が承認を与えたことに対して、州議会や多くの住民から強い反対の意見が表明された。この問題がどのように解決されることになるかは、現時点では全く予断を許さないが、この反対の立場の表明からは、「島での生活」が今後も維持されるための不可欠の条件を考えるうえで、以下の2点が決定的に重要であることが示唆された。 1.環境との持続可能な関係の形成 ・島という場所は、規模が小さく多様性が貧弱であることから、無思慮な働きかけによって取り返しのつかないダメージを被る可能性が高く、周囲の環境との持続可能な共存関係を築くことが不可欠になるが、同時に、この関係の選択が当事者である島に暮らす人々に共有されるものにならなければ、その関係が安定的に維持されることには決してなりえないないと考えられた。 2.外部世界からの破壊的介入への対抗を可能にする人々のまとまり ・この反対の立場の選択は、伝統的な共同体組織や政治体制の意思決定過程が機能して可能になったのではなく、島社会の存続を危うくするような困難を乗り越えようとして、「同じ島に暮らす人間どうし」という、自律的な個人相互の対等な関わりに目が向けられ、そのような仲間との共同を予想してもたらされたものだと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)