2011 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおけるアブラヤシ開発をめぐる土地紛争の研究
Project/Area Number |
22520831
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中島 成久 法政大学, 国際文化学部, 教授 (80117184)
|
Keywords | 新自由主義 / 経済回廊 / アブラヤシ / 土地紛争 / マレーシア・パームオイル研究所 / 民衆農園 / ウィルマルグループ / 多国籍企業 |
Research Abstract |
平成23年度は以下の活動を行った。 1インドネシア・カウンターパートの講演支援 2011年7月9目(土)に、法政大学市ヶ谷キャンパス、ボアソナードタワー8階、0804教室において、中島のインドネシア側カウンターパートであるディアント・バクリアディ博士(Dianto Bachriadi)氏(Agrarian Research Center,Bandung,Indonesia研究員)が別の資金で来日されたので、講演会を行った。テーマは、"Jalur Baru Neo-liberal untuk Exploitasi dan Ekstraksi:Pembangunan Koridor Ekonomidi Indonesia"(The New Tunnels of Neo-liberal Exploitation and Extraction:Developing Economic Corridors in Indonesia)である。通商産業省の支援で、インドネシアの6か所に「経済回廊」 計画が策定され、順次実施されているが、土地紛争を引き起こす可能性に警告を発した。なおこの発表は、「インドネシアニュースレター」77号(2011年10月)に日本語訳が掲載されている。 2マレーシア、インドネシアでの調査(2011年8月) 2-1マレーシアではクアラルンプルにあるMPOB(Malaysian Palm Oil Board)を訪問し、資料収集とインタビュー調査を行った。 2-2インドネシアでは従来続けている西スマトラ州西パサマン県でのアブラヤシ開発と土地紛争の継続調査を行った。特に、紛争を抱えているゲルシンド・ミナン農園労働者へのインタビューと、「民衆農園」と呼ばれる自営農民による小規模アブラヤシ栽培の実態調査を行った。 3アメリカ西海岸米・エリアにおけるアブラヤシ関連多国籍企業の予備調査 今回は予備調査であり、サンフランシスコ大学のウェスリー・ウエウンテン助教授(文化人類学)の研究グループと意見交換・情報交換を行った。先進国においてパームオイル製品の大量消費こそが、アブラヤシ開発を促進し、それがひいては土地紛争の遠因になっている、ということが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアでの土地紛争の実態調査をほぼ終了し、一冊本を出版した。現在は紛争を抱えている農園での農園労働者の実態調査を始めている。また、大規模農園に代わって急速に増加している自営「民衆農園」の実態調査にも着手した。さらに、次の課題である、アブラヤシを生産から消費の現場まですべて見る、という課題に着手して、その感触をつかんだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)アブラヤシ消費の実態と記号論的研究 アブラヤシはEUと中国、インドで大量消費されているが、その実態とアブラヤシ製品(パームオイルを使った商品)の記号論的研究を行いたい。 (2)インドネシアの経済回廊の研究 日本政府はインドネシアの6か所に「経済回廊」を設定し、新自由主義に基づく開発計画を策定し、実施しようとしているが、これが新たな土地紛争を引き起こす可能性があり、その実態を注意深く観察していくことが必要である。
|