2011 Fiscal Year Annual Research Report
インフォームド・コンセントの法社会学-動態分析に基づく行動規律モデル
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22530001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中西 淑美 山形大学, 医学部, 准教授 (20420424)
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Keywords | インフォームド・コンセント / リスク認知 / ナラティヴ / メディエーション / 自己決定 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実施計画の9項目のうち、6項目を達成した。そのほかの3項目は、当初の計画通り平成25年まで継続計画実施の予定である。以下、実施した項目について、報告する。 1. 不快情動における紛争の情動因子について、患者・家族に質問紙調査を計画し実施した。IC文献や関連する学問分野の先行研究を参考に、研究調査し解析した。その回答結果を元に否定的対人感情の形成における「認知経路」と「情動経路」の影響力を比較し、「認知経路」において否定的対人感情の形成に影響を及ぼす責任帰属要因を示した。データの検証と解析の結果、情報報共有による認知再構成を得られる可能性が示唆され、医療メディエーションの否定的感情を伴うコンフリクト場面での役割が示唆された。以上の結果を、日本医療マネジメント学会で発表した。 2. 同意と承諾を得たうえで、倫理規定に基づきながら、参与観察による質的対象とのデータの収集の策定を開始した(平成25年まで計画実施の予定)。1. と2. のデータ結果等からIC過程に影響するファクターを抽出し、いくつかの要因関連モデルを構築することを試みて、生理学的な変化に着目し、自律神経系の研究に着手した。今後は、それらモデルの構造と規定要因を探索するために、医療機関の医師、患者を対象に更なる研究や調査を実施して、IC過程の複数のパターンを抽出し各要因を構築している要因を明らかにしていこうと検討を継続中である。 3. 文化的影響の比較検証のため海外の患者団体・医療制度の情報収集をした(報告予定あり)。 4.医療者における謝罪と司法と医療安全と有害事象について、そのデータを解析し、日本医療・病院管理学会で発表した。組織横断的研究のため、日本医療コンフリクトマネジメント学会を設立した。 5. 医学教育での共感についての既存尺度を用いた研究調査を実施分析し、国立病院機構医学会総会の学術集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全国規模の学術集会で、研究に関連した調査を実施し、解析した結果について、3学会で発表できたこと。 患者・家族・市民団体を対象にした「不快情動」における紛争の情動因子と医師の態度との関係において専門領域の医療メディエーションモデルとの影響を明らかにできそうな手応えを感じていること。 医師と患者との生理学的実験の構想に着手したこと。著書を公刊したこと。
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Strategy for Future Research Activity |
所属大学での研究にあたって、個別の医師の同意がとれても、患者・家族との同意をとるには、高度先進医療期間であるため、難しい病態になっていることがある。また、紛争事案になったものでは、個人情報保護の観点から、同意が得られにくいため、倫理面に配慮しながら、研究への理解と同意を得るように努力する必要がある。 同意と承諾を得たうえで、倫理規定に基づきながら、参与観察による質的対象とのデータの収集の策定を熟考し、協力医師や対象となる市民ボランティアでの協力が不可欠である。IC過程に影響するファクターから、生理学的な変化に着目し、自律神経系の研究を推進したいが、ソフトや備品が高額なため、先行研究や文献、情報収集を重ね、再度検討と地道に研鎖を積む必要がある。
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Research Products
(14 results)