2011 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸海域および河川流域の「共」的管理に関する法学的研究
Project/Area Number |
22530009
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
緒方 賢一 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (00380296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 昭浩 高岡法科大学, 法学部, 准教授 (40329355)
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Keywords | 基礎法学 / コモンズ / 漁業権 / 漁業補償 / 排砂式ダム / 漁業補償 |
Research Abstract |
沿岸海域及び河川流域において、従来からある漁民による海・川の漁業的な利用が経済・社会情勢の変化の中で縮小している。一方、里山に代表される地域の共通資源を「コモンズ」として管理する動きがあり、沿岸海域においても「里海」といった概念が生み出され、コモンズとしての海・川の価値を再評価し、管理・利用していく試みが始まっている。本研究は、こうしたコモンズ的な海・川の管理・利用と従来の漁業的管理・利用の調整を漁業権に基づいて行うことができるかどうか、現地実態調査を中心に調査・研究を行うものである。 2年目の平成23年度は、主として富山県において現地調査および研究会を行った。調査対象地区を黒部川流域とし、排砂式ダムの影響について、国土交通省黒部河川事務所、黒部川内水面漁業協同組合等を訪問し聞き取り調査を行った。また、排砂の影響が沿岸海域までおよび漁業権の侵害等が発生し訴訟に至ったことから、訴訟当事者である原告漁業者側訴訟代表者と被告関西電力(北陸支社)を訪問し、聞き取り調査を行った。調査結果の公表等は次年度の課題となるが、黒部川の調査で河川流域と沿岸海域を一体のものとして捉えることができた。また、調査技術の伝承についても本研究の課題としているが、早稲田大学大学院博士課程研究生の外山浩子氏に富山調査に同行してもらい、法社会学的な聞き取り調査を体験してもらうことができた。 高知県においては四万十川流域の調査を継続するとともに海の調査として大敷組合(定置漁業権)の予備調査を年度末に行った。こちらについても調査結果の公表等は次年度の課題であるが、成果公表に向けて準備が整ってきている。研究会は富山県において行った。富山大学人間発達学部准教授高橋満彦氏を今年度から新たに研究協力者として迎え充実した研究会を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画、年度計画の設定通り、富山県における調査を2回(9,月、3月)行うことができた。高知県においても四万十川流域の調査を継続するとともに新たに定置漁業の調査を3月に行うことができた。一方、成果公表については年度中に書籍を発行する予定であったが、2012年4月にずれ込んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
高知県・富山県における調査を継続するとともに、研究会を開催し、調査結果のとりまとめ及び成果公表を行う。高知県においては定置漁業権および四万十川流域の内水面漁業権について調査を継続し、富山県においては黒部川流域の漁業補償問題を継続調査するとともに定置漁業権について新たに調査を行う。今年度から新たに高岡法科大学法学部准教授上地一郎氏を研究協力者とし、調査研究体制の充実を図る。
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