2010 Fiscal Year Annual Research Report
大韓民国の成立過程における「国民」確定基準の法的模索
Project/Area Number |
22530013
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
岡 克彦 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (90281774)
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Keywords | 朝鮮戸籍 / 国民国家 / 主権 / 国籍 / 大韓民国 / 民籍 / 内地戸籍 / 分断国家体制 |
Research Abstract |
本年度は、研究最初の作業として、主に植民地当時の日本人と朝鮮人との法的区別を探るために、一次資料の調査および収集を実施した。現地韓国で国立中央図書館、国会図書館および各大学附属図書館で上記の作業を行った。朝鮮の保護国期の「民籍法」および「民籍」に関する立法資料、民籍の原本に接し、当時、日本帝国当局の人的把握に関する実態を明らかにすることができる史料を入手することができた。また、日本の最高裁判所附属図書館など国内の機関でも同様の調査を実施し、朝鮮植民地時代の戸籍に関する史料を入手することができた。現在、入手した史料の複本をデータベース化する作業を行っている。 同作業では、次のような研究のねらいがある。(1)「民籍」の成立過程を解明することで、朝鮮の旧来の戸籍と、植民地期における日本式戸籍の差異に注目するためである。民籍は、植民地期前において朝鮮の領域での人的構成を確定させるところにその目的があったようである。(2)内地戸籍から朝鮮戸籍へ、反対に朝鮮戸籍から内地戸籍への転籍事例に焦点を当てながら、当時の日本人と朝鮮人の法的境界の実態を解明する端緒を発見しようとしている。日本人と朝鮮人との婚姻、認知および養子などに転籍事例がある。その事実関係、家籍の転籍および転籍による法的効果を解明している。 本年度の研究は、大韓民国の建国前に当時の朝鮮人が法的にどのような形式と基準で把握し、分類されていったのかを明らかにするための前提作業であった。
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