2011 Fiscal Year Annual Research Report
大韓民国の成立過程における「国民」確定基準の法的模索
Project/Area Number |
22530013
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
岡 克彦 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (90281774)
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Keywords | 朝鮮戸籍 / 国民国家 / 主権 / 国籍 / 大韓民国 / ジェンダー / 分断国家体制 / 選挙 |
Research Abstract |
本年度は、3回に渡って現地・韓国にフィールドワークを実施した。韓国の建国以降、国民確定の問題を解明する端緒について、次の問題点を中心に調査を実施した.(1)建国時の国勢調査の方法や実施状況である。(2)国政選挙の被選挙および選挙資格の基準およびその対象者の範囲である。(3)戸籍制度における国民登録の基準とその対象者の範囲である。こうした問題点を解明するために、官報、行政文書、国会議事録および当時の新聞記事などの一次資料を通して、各論点ごとにデータベース化を図っているところである。 この作業の意義は、建国の初期において、この三つの領域で大韓民国の国民が、国家によってどのように認識され、また、各領域での国民確定の法的基準を実証的に析出する可能性を探る史料が収集できたことである。韓国政府は、建国当時から国民の実態を綿密に把握しようとした。それが、総人口調査および人口動態調査である。その際、国民の実質を認識する手がかりとなっていたのが、朝鮮戸籍であった。また、国会議員選挙での選挙人を確定する場合でも、朝鮮戸籍と寄留簿に依拠していたことがほぼ判明しつつある。もし、この点が明らかになれば、大韓民国における国民の確定は、米軍政期から採用されてきた「戸籍主義」にもとづいていたことが裏付けられることになる。国民確定の問題は、日本帝国による植民地期から米軍政期および建国期に渡って、ある一貫した法基準が存在していたのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展状況は、ほぼ計画どおりである。ただし、1次資料のうち、まだ調査が不十分なところがある。その原因は、現地でのフィールドワークで1次資料の所在をまだ明らかにできなかったところにある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である24年度は、上記の不十分な部分について、重点的に1次資料などの調査を現地で実施する予定である。そのほかの計画は順調である。最終年度で計画通りに本研究を進めていく。
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