2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530014
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 武秀 東洋大学, 法学部, 教授 (90186891)
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Keywords | 基礎法学 / 台湾法 / 合股 / 組合 / 旧慣 |
Research Abstract |
平成22年度は、台湾の慣習法のうち特に商事慣習であり、現代の台湾の同族企業の原流とも考えられる合股について、研究を進めた。 研究の第1の方法は、日本統治時代の慣習法の集大成である『台湾私法』における合股理解について検討を加えたことである。これにより、民事合股と商事合股の違いが明確になったが、同時に、民事合股と商事合股の区分のあいまいさも明らかになった。 第2の方法は、現地調査により現代の会社、特に小規模の同族会社において合股の慣習がどのように機能しているかについて理解を得たことである。調査対象地域は、台湾南部および台湾の小規模会社が多数進出している中国南部地域である。とりわけ、中国南部地域における小規模台湾企業は、株式会社としての形式は備えているが事実上慣習法上の商事合股の様相を呈しているものが多いことが明らかになった。 第3の方法として、日本統治時代における民事判決において合股がどのように取り扱われたかについて分析を進めた。合股が対象となる判決自体はそれほど多くはないが、1910年代の内地法延長主義の実施に伴って、合股が日本内地法上の会社組織へと変容していく状況が確認できた。民法の直接適用に際して合股は民法上の組合に擬せられるが、商事合股の場合は裁判所が事実上会社と同様の取扱をしてきている点が特徴的である。
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