2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530014
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 武秀 東洋大学, 法学部, 教授 (90186891)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 慣習法 / 合股 / 日本統治時期台湾法 |
Research Abstract |
本年度は、台湾における伝統的小規模事業である合股が当時の日本内地日本法に代表される西洋近代法の制度にどのようにして近づけられていったかについて解明することを目的として研究を進めた。台湾統治基本法においては台湾現地の慣習(旧慣)の尊重が謳われており、特に、家族、祭祀公業、会社等の営業組織については、日本内地法の適用対象としないことが明言されている。しかし実務においては、慣習は必ずしも尊重されておらず、西洋近代法の論理へと接近していった可能性が高い。 このような視点から、合股を直接の対象として研究を進めた。研究対象の第一は、合股令法案の起草段階における議論であり、第二は当時の裁判における合股理解の状況である。特に、合股は慣習上は、その出資者である股東の有限個人責任であるにもかかわらず、立法例においては無限個人責任の論理を採用したこと、他方裁判においては股東の連帯責任という観念を採用したことなどが明らかになった。このような立法例及び実務の取り扱いは、必然的に弁護士らの反発を招き、裁判の過程において現地固有の慣習に従うべきであるという議論が示されはしたものの、裁判所はそれに従うことなく、西洋近代法の論理を導入し、事実上合股の慣習を改変していったことを明らかにした。 以前に解明した祭祀公業においても裁判の実際では台湾固有の慣習に改変が加えられており、必ずしも慣習が維持されていたわけではなかった。それゆえ、本年度の研究成果を加えて、日本統治時期台湾における慣習法の取り扱いに関する一般的傾向性を提示すると次のようになる。すなわち、台湾統治基本法上は現地の慣習に従うことを示しながらも、実際には西洋近代法への接近が進められたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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