• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Annual Research Report

清末民初中国の渉外民事訴訟処理機構の研究

Research Project

Project/Area Number 22530016
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

本野 英一  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20183973)

Keywords中外渉外民事訴訟 / 上海会審衙門 / 中英債権債務関係 / 中米債権債務関係 / 破産処理問題
Research Abstract

本年度の研究活動は、三つの分野に分けて行われた。第一は、この研究計画の中核とも言うべき地域である、上海共同租界で起こった在華外国人と中国人との間で発生した刑事事件、民事事件の審理を行う裁判所、会審衙門(中国語では「会審公廨」)に関する研究である。これは、1880年代以来の懸案であった、上海共同租界で起こっていた中英両国民の間で起こっていた、イギリス籍企業による中国人からの債権回収訴訟審理をめぐる会審衙門の中国側判事とイギリス側補佐人との対立が、1898年から再度外交問題化し、他にも多くの問題がからまって遂には1905年12月に上海共同租界を揺るがす大暴動事件を引き起こし、会審衙門の規則改正を反故にしただけでなく、同じ時期から顕在化した、租界内の中国人を収容する監獄の劣悪な衛生環境改善、租界に入り込む数多くの中国人犯罪者取り締まり機構の整備をも実施困難にしてしまうまでを、イギリス国立公文書館、日本外務省史料館から発見した膨大な未公刊史料にもとづいて明らかにした。
第二は、従来の外国企業商標保護制度の研究の延長である。これは、上海以外の地域での中外渉外事件を扱う裁判所(中国語では「審判庁」)で審理された1920年代の中英商標権侵害紛争を扱った研究である。これは、2011年11月3日に京都大学で開かれた東洋史研究会大会で報告した。
第三は、来年以降に取り上げることになる、1919年から1930年にかけての時期の上海会審衙門返還交渉と会審衙門の後進である臨時法院に関する史料、並びに第一次世界大戦期に扱われた38件の中英間民事訴訟の審理記録をイギリス国立公文書館で収集したことである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

これまでに集めておいた史料と新たに発見した史料を付き合わせることによって、当初の予定通り、裁判機構が持つ制度的不備については、大作論文をまとめることができたが、同時代の判例に関する史料が膨大で、こちらはまだ分析が始まった程度。また、上海以外の地域の裁判については、商標権侵害訴訟を扱った研究報告以外はまだ手をつけられていない。

Strategy for Future Research Activity

今年は、上海会審衙門については、1907年から1919年を中心に二つの論文をまとめる予定。一つは、辛亥革命に伴って中国側の権力機構が崩壊したのに伴い、列国領事団、工部局、会審衙門が上海租界の司法行政を独占し、西洋の法体系にもとづいて統治を行ったことが、如何なる結果を引き起こしていたのかを明らかにすること。もう一つは、ワシントンとロンドンで収集した民事訴訟記録を分析し、当該時期に於ける中国企業からの債権回収の試みがどこまでうまくいっていたのかを明らかにする。また、上海以外の地域の裁判所(「審判庁」)については、1907年から1921年にかけての史料を読み、これも論文にまとめる予定。

URL: 

Published: 2013-06-26  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi