2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本野 英一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20183973)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 上海会審衙門 / 契約履行訴訟 / 破産処理 / 債権取り立て / 信用構造 |
Research Abstract |
昨年度は、1901年から1917年に上海、漢口で起こった中国企業と英米企業との間での民事訴訟事例に関する史料を読み込んだ。その研究成果の一つは英文論文として台湾、成功大学からの依頼原稿という形で英文論文にまとめた。現在先方の編集委員会から修正付き採用となり、その要請に基づき、これを改訂中である。残る研究成果の中で、上海周辺で1906年から1917年にかけて行われたアメリカ企業による破産した中国企業出資者からの債権取り立て訴訟の連続が、上海総商会に商事裁判所(公断処)を立ち上げさせるまでの過程を扱った論文となってまとまった。これは目下原稿作成中。併せて当該時期になぜ、英米企業と中国企業との間で債権債務訴訟が頻発するようになったのか。その時代背景としての信用構造を分析した研究成果を、来年刊行予定の『モリソン・パンフレットの世界2』に収録する研究論文を準備中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
翻訳書(ティモシー・ブルック『フェルメールの帽子』(岩波書店、2014年5月末刊行)の仕上げ作業と、これまでに発表してきた1890年代から1930年にかけての中国と日英米企業との間の商標権侵害紛争史に関する研究成果を著書にまとめる作業とを並行して行わなくてはならなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に進めた史料解読に基づいて、目下準備中の3本の論文は完成させる。次に、第一次世界大戦終了までの時期にかけて列国総領事団管理下に入った上海会審衙門で扱われた英米企業による中国企業を相手取った契約履行訴訟がどのような社会的影響を引き起こしていたのか、とりわけ上海総商会が立ち上げた商事裁判所との関係などを、具体的事例を踏まえて明らかにする。同じく、第一次世界対戦終了から南京政府成立期までに扱われた破産した中国企業からの債権取り立てが、中国の破産法整備、司法制度改革にどのような影響を引き起こしていたのかを扱った史料を読んでいく。
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