2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530016
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本野 英一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20183973)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 債権債務補償 / 契約履行紛争 / 保証人 / 商事裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績は、依頼論文1本と、学会報告1本である。前者は、台湾成功大学『歴史学報』編集部からの執筆依頼に基づき、英文による論文である。これは、1904年から07年にかけて、漢口と上海の領事裁判所、さらに上海のイギリス最高法廷での控訴審を経てついにはロンドンの高等法院にまで持ち込まれた中国の金融業者がイギリスのチャータード銀行を相手どった金融手形の兌換手続保証責任をめぐる一大訴訟を分析した論文である。この事件の判決は、19世紀後半以来在華イギリス商社・銀行と中国商人との間で繰り返され、英中間の外交懸案となっていた、在華イギリス企業・銀行の雇った買弁が自己勘定で中国商人・金融業者との間で行っていた信用取引による債務を、いかなる事情があっても肩代わり補償する責任があるか否かという問題に対する最終決着がつけられた事件であった。ロンドン高等法院の下した判断は、どのような事情があろうと、在華イギリス企業には、自分たちの買弁が中国商人から借りた債務を肩代わり補償する責任があるというものであった。 これに対して、買弁を含む中国商人・金融業者は、イギリス企業・銀行を代表とする在華外国企業・銀行に対する債務返済責任はどこまで義務付けられていたのか。この問題について詳しい手掛かりを残しているのは、アメリカ国務省上海総領事館報告に残された、日露戦争直後から第一次世界大戦終了期にかけての在華アメリカ商社が中国商人、中国人消費者を相手取った債権回収訴訟記録である。その分析は、明清史夏合宿2014での報告で発表した。そこで明らかにしたことは、中国人債務者、消費者の契約不履行行為よりも、保証人となっていた裕福な商人が、逮捕拘留される事態であり、これが中国側に商事裁判所設立を促す動機となっていた事実であった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)