2011 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故をめぐる過失観念の構造と変容:ナラティヴ・アプローチによる解析
Project/Area Number |
22530017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 仁孝 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80183127)
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Keywords | 医療事故 / 過失 / 紛争処理 / ナラティヴ / 法意識 |
Research Abstract |
本年度は、質問紙調査の作成と、その準備精錬のための聴き取り調査を中心に行った。 具体的には、東京、神奈川、長野、愛媛、沖縄の医療機関において、医療事故体応経験を持つ医師・看護師へのインタビュー調査を行い、当該事案において、その観点から見た「過失」「因果関係」「損害」などの認識を掘握する作業を行った。医学的知識体系からの認識と、個人の道徳意識の次元での認識の交錯という問題、ならびに、法的過失認定、患者側の過失認識、マスコミ等の観念についての感想を開くなかで、事故発生から、患者への対応、その後の交渉、ないし訴訟過程での変容などを確認した。 また、米国ミシガン大学病続システム、全米病院協会のペイシャント・アドボケート協会、被害者が設立した事故後対応モヂルの普及組織ソーリーワークスなどを訪問し、米国における医療関係者の過失観念についても聞き取りを行った。以上の質的調査をもとに質問紙をデザインが概ね終了しており、次年度はこれをもとに日本を中心に、医療関係者への過失意識の調査を実施する予定である。 このほか、「医療メディエーション」と題する書籍を本研究の関連性かとして発表した。この出版については、中国山西省の医療事故調解委員会、山西大学より、翻訳許可の依頼があり、現在、中国語訳の出版への作業が進んでいる。また、上記委員会、大学との研究についての共同の申し入れもあり、国際的協働へ向けての動きも次年度は活発化していくこととなろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定通りに研究が遜展しており、調査の経過も順調である。また、海外の研究者との共同の申し入れもあり、今後の新しい展開への発展も期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな変更の必要はないが、場合によって、国際的共同研究への手がかりとして、対象を中国を含め国際的に拡大することも考えられる。予算の許す範囲で可能な限り可能性を追求してみたい。
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