2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺稿に基づくサヴィニー『現代ローマ法体系』の成立過程の研究
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22530019
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
耳野 健二 京都産業大学, 法学部, 教授 (60271128)
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Keywords | サヴィニー / 法体系 / 現代ローマ法体系 / 計画 / 法源 |
Research Abstract |
本年度は予定された以下の三つの課題(A)(B)(C)につき、次のような成果を得た。 1.課題(A):『体系』に関する「計画」の概要と成立過程におけるその意義 本研究が対象とする遺稿には、「計画」に該当する可能性のある二系統の草稿が含まれている。一方はサヴィニー自身の手控え(<配列A>)、他方は同僚法学者に意見を求めるために作成された清書版と思われる(<配列B>)。 両系統の草稿は、内容上はほとんど同じであるが、制定法の適用の時間的・空間的限界を扱う第1部第6章の位置けに違いがみられる。この章は、<配列A>では総則編の末尾に、<配列B>では法源としての客観的法(制定法)を論ずる章の末尾に、それぞれ配されている。 <配列A>およびく配列B>は、公刊された『体系』の配列と相違を示している部分がある。公刊された『体系』の第1部「現代ローマ法の法源」に相当する内容についての相違は、とくに重要である。 2.課題(B):『体系』の「序論」の成立過程について 「序論」の遺稿の主要部分は15頁からなるが、これらを公刊された『体系』の序論と比較するための準備作業を行った。 3.課題(C):『体系』の「法源論」の成立過程について 法源論にかかわる遺稿(Bl.184r-195v)のうち、§9について、サヴィニーは初期の草稿に多量の加筆修正を加えている。この加筆修正について、クレンツェの指摘が影響していると思われる。修正については、「公法offentliches Recht」を「国家法Staatsrecht」に修正するものがあるのと同時に、修正がなされていない場合もある。 研究成果の意義 以上の研究成果は、サヴィニー自身の草稿に基づき、『体系』の成立過程の」部を明らかにするものである。いまだ個々の成果を積み重ねている段階ではあるが、その多くがはじめて明らかになる知見であり、重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で扱われる三つの課題((A)『体系』に関する「計画」の概要と成立過程におけるその意義、(B)『体系』の「序論」の成立過程について、(C)『体系』の「法源論」の成立過程について)のうち、(A)について研究成果を論文として発表したこと。また残りの(B)(C)についても作業を継続的に進めていること。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にとくに大きな問題はない。今後もこれまでの研究作業を継続的に進めてゆく予定である。
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Research Products
(1 results)