2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三宅 雄彦 埼玉大学, 経済学部, 教授 (60298099)
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Keywords | 憲法理論 / 精神科学 |
Research Abstract |
平成22年度においては、ドイツ憲法理論の古典的存在としてのルドルフ・スメントの学説をその方法論の観点から再検討する作業、とりわけ、このスメントの見解を、教育哲学、ならびに、関連してプロテスタント神学及びドイツ国家教会法学との比較の観点から検討する作業を、それぞれ行った。まず、第一に、スメント学説と、同時代の神学者エマヌエル・ヒルシュの学説とを比較する作業を行った。これにより、スメントとヒルシュを国家又は神へと個人を強引に拘束する見解と見るのではなく、例えば、前者がナチスに反対する告白教会であり、後者がナチスを支持するドイツキリスト者であることからしても、両者は共通ではなく、むしろ、スメントにおける憲法倫理学の側面を強調すべきことが、解明された。この成果については、三宅雄彦『憲法学の倫理的転回』第1章「憲法倫理学の可能性」ですでに公表済みである。また、第二に、スメント学説を、ドイツ国家教会法の特に戦後における発展の中で検討する作業を行った。具体的には、戦後において教会を国家と並ぶ公共性実現の主体と把握する公共性委託の概念を中心に検討を加え、また、戦後の教会法学者マーレンホルツの学説とスメントの学説とを比較する作業を行った。これにより、教会法学においても、スメント独自の実質的憲法概念や憲法倫理学の思考が込められていることが、解明された。この成果については、三宅雄彦「ドイツ教会法における公共性委託の概念」で近く公表する予定である(掲載決定済み)。 また、スメント学説などドイツ憲法理論に関する資料について、ドイツ連邦共和国・ベルリン自由大学及びゲッティンゲン大学等で資料の収集及び調査を行った。
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Research Products
(3 results)