2010 Fiscal Year Annual Research Report
港湾・海事・空港を中心とした運輸行政の公法学的研究
Project/Area Number |
22530027
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 琢麿 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (40234364)
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Keywords | 港湾 / 財政 / フランス法 / 公法基礎理論 |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究の研究期間の初年度であるため、港湾に関する基本的な情報の収集や、運輸行政に関わる行政法・財政法の基礎理論的考察を中心とする作業を行った。まず、港湾管理の実態調査については、稚内港をはじめとした国内港湾の現地調査を行うとともに、フランスの港湾制度(特に中枢港制度の運用状況)について文献等の収集を行った。また、港湾法については、従来の港湾管理の枠組みを大幅に変容させる法案が平成23年3月31日に成立したため、その問題状況に関する論考は、あえて本年度内には公表せず、改正内容やフランスとの比較を含めて、次年度に公表することにした。現段階では、港湾に関する研究が中心であるが、港湾運営等の概念的な考察にあたって、海事・空港との関係についても、最小限の考察を行っている。以上のような事情から、本年度内に公表した論文等は、いずれも行政法・財政法の基礎理論に関するものである。まず、論文「財政の法的統制」は、日本公法学会における報告をまとめたものであり、財政との関係から憲法・行政法の基本原理を考察している。また、同じく論文「財政法の基礎理論の覚書き」は、上記の公法学会報告を補充する内容であり、地方議会における権利放棄議決の効果を中心にしながら、財政法の基礎理論について、現段階での理論的な総括を行った。さらに、著書『プラクティス行政法』は、直接的には初学者に向けた書物であるが、住民訴訟や公物に多くの紙幅を割いており、港湾等の公共事業の例を多く掲げている。このほかに、最高裁判例に関する判例評釈を2件公表しており、港湾行政等への影響を含めた考察を行った。
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