2010 Fiscal Year Annual Research Report
「多様な家族」の法的保護を可能とする家族形成権と生命に対する権利の日仏比較研究
Project/Area Number |
22530039
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
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Keywords | 家族 / 婚姻の自由 / 生命に対する権利 / 生殖の権利・自由 / 身体の自己決定権 / ヨーロッパ人権裁判所 / フランス法 / 憲法と条約 |
Research Abstract |
平成22年度は、「多様な家族」の法的保護の基盤となる権利の一つである「生殖の権利・自由」のうち、「生命に対する権利」および「身体の自己決定権」についての理論と判例研究を中心に、下記のような成果を得た。 1.日本および国際法における「生命に対する権利」が究極の状況で問われる呼和的生存権」は、平時における諸権利特に生命に対する権利の反映であるという結論を得た。⇒成果:論文「『平和的生存権』と国際人権保障-自衛隊イラク派兵差止訴訟における『基底的権利』保護をめぐって-」(後掲)。 2.「生命に対する権利」を「刑事法」との関連で検討。国際刑事裁判所規程の批准により、日本は「人道に対する罪」を国内法の犯罪概念とするため「生命に対する権利」概念も変容。⇒成果:学会報告(後掲)。Paul Cezanne大学、Table ronde「憲法と刑法」において、「日本における死刑制度、国際刑事裁判所の批准」について報告。 3.日本における「憲法と条約」についての考察。「多様な家族」の基盤となる権利は、ヨーロッパでは国際人権保障によって形成されつつあるが、日本ではなぜ国際人権法の国内適用が消極的かを国際法の導入の歴史から考察し、国際法の導入が常に国家主権や国のアイデンティティとの相克の中で行われたことが、国際法の国内適用に影響を及ぼしているのではという仮説が提示。⇒成果:学会報告(後掲)。2010年12月のメキシコシティで開催された国際憲法学会において、「国際化と国家主権との間-日本における憲法と国際法の関係」のテーマで報告。 4.「身体の自己決定権」の考察。「多様な家族」の法的承認に不可欠な「身体の自己決定権」がヨーロッパ人権裁判所において形成されてきた歴史に関する論文を翻訳し、さらに人工妊娠中絶の合法化によって「身体の自己決定権」が出現した経緯について「覚書」において明らかにした。⇒成果:論文「『身体の自己決定権』と人格の尊重-ヨーロッパと日本における法的保護に関する覚書」(後掲)、翻訳「ヨーロッパ人権裁判所判例における身体の自己決定原則」(後掲)。
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[Presentation] La Constitution et le droit penal2010
Author(s)
建石真公子
Organizer
26e Table ronde internationale de justice constitutionnelle : Constitution et droit penal
Place of Presentation
Universite Paul Cezanne Aix-en-Provence, France
Year and Date
20100910-20100911
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