2010 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける社会的民主主義概念の歴史的・制度的・実体的検討
Project/Area Number |
22530041
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
多田 一路 立命館大学, 法学部, 准教授 (00313453)
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Keywords | フランス公法 / 社会的民主主義 / paritarisme / 社会保障 / 労使関係 |
Research Abstract |
本研究は、民主主義のあり方として、日本において通常観念されている政治的な場面におけるそれとは異なる場面における、民主主義的制度として、社会的民主主義の検討を行うものである。本年度は、フランスにおける社会的民主主義(democratie sociale)なる概念が、そもそもどのように観念され、そしてそれがどのような制度として存在し、どのように評価を受けているのかについて、研究をおこなった。三年計画の第一年度にあたるため、社会的民主主義に関する基本的な考え方およびその原像に関する文献を渉猟し、分析を行った。その結果、社会的民主主義の概念の前提として観念されている民主主義観として、当事者の同意と自発性を重視していること、そのような同意や自発性が社会的・経済的関係においても貫かれなければならないという理念が、社会的民主主義の成立を支えていることがわかった。そして、その同意を与えるべくシステムに参加する当事者資格の根拠として、拠出をあげることができる。この拠出とは、当事者の直接的な拠出だけでなく、労働者が企業における生産のために提供した労働や、労働者の再生産のためのあらゆる費用をも含むのであり、これらも労働者の拠出として観念される可能性を示す。このような観念的基礎の上に、社会的民主主義という観念が成立しているということが、社会的民主主義における民主制の当事者として常に労使が念頭に置かれていることの論理的要因であることがわかった。この点について、論文としてまとめることができた。
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