2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530042
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮本 十至子 立命館大学, 経済学部, 教授 (30351315)
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Keywords | 国際税法 / EU税法 / 社会保障 / 所得税 / 相続税 / 年金 |
Research Abstract |
本研究は、比較法的視点で、所得税と相続税の両面から、個人の国境を越えた移動と年金課税のあり方について検討することを目的とする。 平成22年度は、まず第一に、所得税からのアプローチとして、年金課税の基礎的研究に着手した。我が国の年金課税の問題点を明らかにするために、年金の課税方式についての先行研究を整理し、少子高齢化進展のなか、ドイツが2001年以降の年金改革の一つとして給付時課税に移行した要因を探り、我が国の公的年金等は給付時課税が不徹底であることを指摘した(「年金と課税方式について-公的年金等の課税を中心に-」税大ジャーナル15号)。さらに、当該研究成果を踏まえ、個人の国境を越えた移動と年金課税の課題を探るために、OECD, EUの議論を整理し、我が国の年金課税の参考とした(第39回租税法学会研究総会報告「年金と所得課税」、租税法研究39号で公表予定)。 第二に、相続税からのアプローチとして、国際相続税の基礎的研究に取り組んだ。我が国の先行研究を整理したうえで、国際相続において二重課税が生ずる要因(人の所在、財産の所在、課税方式の違い)を明らかにした。すでに、我が国の国際相続と課税を巡る議論は、2010年IFA95b (Death as a taxable event and its international ramifications)で公表済みであるところ、別稿にてIFA総会の各国報告、EUにおける取り組み、欧州裁判所の動向を紹介し、相続税の分野における国際的二重課税の救済の道筋と課題について検討を行った(「国際相続と二重課税」立命館経済学59巻6号)。
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