2010 Fiscal Year Annual Research Report
非国家主体に対する国家の管轄権行使に関する国際法の研究
Project/Area Number |
22530047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水島 朋則 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (60434916)
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Keywords | 国際法 / 非国家主体 / 主権免除(外国国免除) / 国連裁判権免除条約 / 対外国民事裁判権法 / 未承認国家 / 外交特権免除 / 国際犯罪 |
Research Abstract |
本研究は、これまで研究代表者が行ってきた「外国国家に対する国家の管轄権行使に関する国際法」から移行し、それを発展させる形で、「非国家主体に対する国家の管轄権行使に関する国際法」の現代的構造を解明しようとするものである。外国国家を対象とするこれまでの研究で得た知見の非国家主体への応用可能性や、両者の違いに着目しながら分析を行い、現代の国際法が、刑事・民事・人権保障等の分野において、非国家主体に対する国家の管轄権行使をどのように規制しているのかを明らかにし、そのような国際法の規制の下で、国家は非国家主体に対してどのように管轄権を行使すべきであるのかを提示することが、本研究の目的である。 研究期間の1年目となる平成22年度は、予定では継続研究課題(若手研究(B)「私人・私企業対外国国家」型紛争の処理に関する国際法の研究)の最終年度に当たる期間であったことから、本研究を進める前提として、外国国家に対する国家の管轄権行使に関する国際法について総括的研究を行った。2009(平成21)年に成立した「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律」等を主な素材として国際会議において英語で口頭発表を行い、その際に受けた批判やコメントもふまえて、英文論文にまとめた。この論文は、英文図書の一部として発表される予定である。その他、外国国家と非国家主体との中間的存在とも言える未承認国家および国際決済銀行に対する国家の管轄権行使についても、関連する資料を入手し、それらに基づく検討を進めた。また、これらの継続研究課題からの移行的研究と同時並行的に、本研究の実質的な出発点として、非国家主体に対して国家が行使する「刑事」管轄権の問題を取り上げ、外交特権免除を享有する非国家主体に関わる現代的争点について分析し、論文にまとめ、公表した。
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