2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530054
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
関 ふ佐子 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (30344526)
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Keywords | 社会保障法 / 高齢者法 / 社会法学 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究では、「高齢」を根拠に、高齢者を社会的に支援する制度を正当化する法理論を、アメリカの高齢者法(Elder Law)の研究を通じて探っている。 今年度は、まず高齢者法の内容を把握するために、第一に、アメリカの第一次資料を収集・整理した。第二に、高齢者特有の社会保障法制を構築する理由を探るために、「ニーズ」以外の理論を検証し、高齢者の「功績」を評価するという理論の糸口をみつけた。第三に、高齢者をとりまく法政策の実情を探り、上記理論の有用性を問うために、3月末に渡米した。 Stetson University College of Lawでは、高齢者法の研究者であるRebecca C.Morgan教授や憲法の研究者であるJoseph F.Morrissey教授などと討議した。また、"Age or Needs,the reasons for taking care of the so called "elderly""と題する報告をした。アメリカの研究者からも、本研究において研究を始めている「功績」理論が支持された点は、とりわけ意義が大きい。 国際会議San Diego Health Policy Conferenceでは、薬剤費の高いアメリカをはじめとする諸外国において、偽造薬剤が高齢者の健康を阻害している問題などを討議でき、高齢者法をめぐる課題の多様性を検証できた。また、アメリカの研究者などと、年金給付との関係で導入された社会保障番号が、なりすまし犯罪などから高齢者の生活を脅かしつつも、番号の存在は疑問視されていないアメリカの実体や、医療保障改革の高齢者への影響などについて意見交換できた。 この他、実地調査をした高齢者コミュニティPilgrim Placeは、70代、80代の高齢者が他の者(お互い・貧困者向けのスープキッチンなど)をボランタリーに支えており、「高齢」の意味や高齢者の将来像を考察するうえで、貴重な実態を視察できた。
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