2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530056
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
|
Keywords | 医療計画 / 医療提供体制 / 社会保障法 |
Research Abstract |
本年度は、各都道府県の医療計画、医療計画の見直しに関する政策動向について分析をすすめるとともに、医療計画の実施状況と課題について次のような観点から検討を進めた。 第一に、自由開業制を基調とした医療体制をとるわが国では、医療計画に基づく医療連携体制の構築や医療機能の集約化といった課題は、診療報酬や補助金による誘導を中心とした施策の役割が重要となる。このような観点から、医療計画に基づく医療提供体制の実現の手段として診療報酬と補助金の役割に着目し、検討をおこなった。検討結果について小論をまとめた。 第二に、医療制度改革の一環として進められた情報提供体制の進展について、医療計画の実現手段としての観点から検討をおこなった。医療情報の提供は、患者への弊害を防止するため広告規制を中心とした法制度が従来、構築されていたが、医療制度改革以降、患者の選択の促進の観点から新たな制度(医療機能情報提供制度)の整備が進められている。同制度について提供体制整備の視点から検討した。 第三に、医療計画が定める医療連携体制のケーススタディとして、がん診療の連携体制について検討した。がん診療の提供体制については、がん対策推進計画やがん対策基本法に基づく各種施策が実施されており、これらの施策と医療計画との関連を踏まえて検討をすすめた。第2、第3の検討結果については、医療計画の進展状況の検討とあわせて論文を執筆した。 以上の作業経過について、各地の研究会(九州社会法研究会、関西社会保障法研究会)において研究報告を行い、本研究の問題点や課題について検討する機会を得た。本年度の物品費、旅費については以上の研究課題を遂行するために用いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した研究計画に基づいた検討については一定程度進めることができたが、本研究課題が検討対象とする医療計画の策定方法については2011年12月に大きな見直しが行われた。こうした動向を踏まえた検討がさらに必要となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年12月に行われた医療計画の策定方法の見直しに基づいて、2012年から2013年にかけて各都道府県では新たな医療計画の策定が行われることが予定されている。聞き取り調査や医療計画作成指針の分析などをもとに、こうした動向のもつ理論的意義を検証し、今後の医療提供体制の整備、構築において、医療計画が果たす役割について研究の総括を行う。また、以上の検討作業をもとに論文執筆をすすめる予定である。
|
Research Products
(3 results)