2012 Fiscal Year Annual Research Report
在籍出向関係の重層的分析-ドイツ労働法学の知見を糧に
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22530058
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中内 哲 熊本大学, 法学部, 教授 (70295856)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 在籍出向 / 企業間労働力移動 / 労働者派遣 / 真正貸借労働関係 / 人事管理 / 人事権 |
Research Abstract |
実務で多用されているわが国の在籍出向関係・これに相似するドイツの真正貸借労働関係は、「使用者(送出企業)」対「労働者」という通常の労働契約当事者に、労働者が実際に労働力を提供する「受入企業」が加わり法的に複雑化するにもかかわらず、三当事者間の法律関係如何やそれに基づいた紛争の法的解決枠組みの構築は、契約自由原則が適用されるとの建前の下で、従来さほど注目されてこなかった。 本研究課題に対しては、「研究の目的」に記載したように、基本的に、①労働契約(法)上、②公法的規制としての最低労働条件設定法令上、③憲法28条や労組法をはじめとする労使関係法上、以上3つの分析視角が存在するが、当年度は昨年度から引き続き、①における、とりわけ上記三当事者関係の端緒、具体的には、A当該三当事者関係を生じさせる労使「合意」のあり方、あるいは、B使用者がその生成を命令する際の行使要件等について、関連資料の探知・収集・咀嚼を通じ、日独両国における判例・学説の状況を把握するとともに、それらに対する評価および私見の確立に努めた。 少なくともABに関する判例・学説の現状としては、日独両国とも大勢において、上記3者関係の法的根拠となる労働者の意思表示に関し、集団的・抽象的水準(例えば、就業規則による規制)で足りるとし、それに伴い、企業(法人格)を跨ぐ労働力の移動である当該関係を発生させる使用者の命令権は、企業内人事異動である配置転換と比較して、さほど厳格に捉えられることなく肯定され、司法審査の関心は、その行使の濫用性に向けられている。なおドイツでは、使用者の当該権利行使は、従業員代表からの異議が法定事由に該当すれば無効と評価される(事業所組織法99条等)。 ドイツにおけるこの部分の司法審査の内実こそ、わが国の出向命令権行使の濫用性判断に新たな視点を提供するとの示唆を得ており、その一刻も早い公表を実現したい。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)