2011 Fiscal Year Annual Research Report
契約労働者の保護と法律関係ーー個人請負従事者の法的問題
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22530063
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鎌田 耕一 東洋大学, 法学部, 教授 (30204605)
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Keywords | 労働者 / 雇用関係 / 自営業者 / 労働契約 / 労働法 / 労働者類似の者 / 雇用契約 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、国内の関係諸団体にヒヤリング調査を行うとともに、平成23年12月に、ドイツ・ベルリンにおいて、連邦議会議員、連邦労働社会省、ドイツ連邦使用者団体、ドイツ労働総同盟、ドイツ・サービス統一労組、労働問題弁護士にヒヤリング調査を行った。また、平成24年1月から2月にかけて、イギリス・ロンドン・オックスフォードにおいて、政府機関、経営者団体、労働組合会議、個別労組、労働法研究者(大学教授)にヒヤリング調査を行った。 これらの調査から、ドイツでは、労働者、事業者の間の第三のカテゴリである労働者類似の者とは別に、1990年代のハルツ改革以降、労働者を用いないで役務を提供する自営業者の数が増加し、それは一般に「一人自営業者」と呼ばれ、政府・労使は「一人自営業者」の保護について新たな立法措置を検討していることが判明した。 イギリスでは、労働契約上の被用者(employee)と自営業者(self-employed)との間に就業者(worker)を法的に設けているが、これとは別に、労働者を用いない自営業者について、労働組合は、その労働者性および社会保障の面で新たな立法措置を求めている。また、こうした制定法上の措置の法的根拠については、Freedland/kontourisの著書は、ヨーロッパの動向をみすえながら、新たな視点を提供している。 これにより、(1)「一人自営業者」にはなんらかの法的保護措置が必要とされ、その定義は法的保護の内容に応じて異なっていること、(2)その保護の法的根拠については、これまでの使用従属関係ではなく、「仕事における人格性」(personality of Work)に求めている説を検討すべきであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書で予定したとおり、イギリスとドイツにおいて契約労働者の実態、法律関係について現地ヒヤリング調査を実施した。また、国内調査についても5か所でヒヤリング調査を実施した。また、日本労働法学会121回大会(沖縄大学)においてミニシンポ「個人請負・委託就業者の保護」を行い、学会員による討議を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本研究の最終年度となることから、これまでの調査、シンポでの討議などを取りまとめて、契約労働者の保護の在り方について提言を行う予定である。そのうえで、研究成果については、別途、論部(研究雑誌に掲載)または著書の形で公表して、この問題について広く問題提起を行う予定である。
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Research Products
(4 results)