2010 Fiscal Year Annual Research Report
裁判員制度とその下における犯罪被害者法制の理論的・実証的研究
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22530071
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 克佳 名城大学, 法学部, 教授 (20202012)
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Keywords | 裁判員制度 / 裁判員裁判 / 国民(市民)の司法参加 / 刑事司法制度改革 / 被害者参加制度 / 被害者の意見陳述 / 犯罪被害者の地位・権利・権限 / 被害者の保護 |
Research Abstract |
本年度は、まず、主に、これまでの制度未実施段階での理論的研究の到達点を明らかにした。具体的には、刑事司法への国民(市民)参加制度およびそれとの関係で犯罪被害者支援法制に関するわが国の膨大な先行業績を整理・分析すると共に、先進諸外国の現状を正確に把握する作業に従事した。とりわけ、司法参加制度と被害者論の交錯領域を中心として、これにつき先進諸外国がどのような対応をしているかを正確に理解・分析することに重点を置いた。従前、犯罪被害者に関する主要な論点とされてきた4つの問題領域(「保護」、「情報提供」、「参加」、「損害回復・救済」)は、裁判員制度との関係で一層重要性を増すことが予想されていたが、現に実施された裁判員裁判事例でもその兆候が見られたため、被害者の手続「参加」に重点を置きつつ、「保護」などの問題についても考察した。 国際比較研究の対象国としては、検討を進めてきたドイツを中心に欧州諸国から始めた。その際には、司法参加法制および被害者法制の現実の動きを刑事司法全体との関係に留意し把握した上で、わが国への示唆を得るように努めた。具体的には、(1)関連文献・資料等の網羅的な収集・検討を中心として、(2)研究者・実務家等に対する聞き取り調査および本研究計画についての先進的研究者等によるレビューを行った。あわせて、アメリカ法、および、特に、わが国とほぼ同時期に刑事司法参加制度(「国民参与裁判制度」)を試行的に導入した韓国法についても検討に着手した。 他方で、同時並行的に、蓄積しつつある実際の裁判員裁判および被害者関与の事例や裁判例を収集・整理した上で、それを手がかりとして実証的・実際的考察の一部に従事した。具体的には、これまでの理論的研究につき、実例に基づいてその吟味・深化を行いながら、現実の事件・具体的ケースに基づく問題点の整理・分析を進めた。
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