2011 Fiscal Year Annual Research Report
消費者のための市場秩序形成をめざして-行政的手法と司法的手法の相互連関-
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22530073
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 清治 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20212772)
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Keywords | 消費者法 / 消費者団体 / 団体訴権 / 消費者契約法 / 白紙委任状 / 代理権授与の表示 / 109条 |
Research Abstract |
本研究の目的は、消費者のための市場秩序を法政策学的観点から形成するための理論モデルを構築し、それを立法的提言にまで結びつけることにある。そして、研究の2年目に当たる本年度は、初年度に引き続いて基礎的な研究を行うとともに、その成果を国際シンポジウムで報告し、さらに社会実践の面でも一定の貢献を行った。 まず、研究面では、本研究科を拠点とするグローバルCOEプログラム『多元分散型統御を目指す新世代法政策学』が主催した国際シンポジウム「消費者法における規制とエンフォースメントの多元性」(2011年7月16-17日、札幌)において、「消費者法における私人のエンフォースメントとしての団体訴訟」と題する報告を行った。これは、フランス側の報告に対する対照報告であり、現在、日本において進みつつある立法事業をフランス法と比較しつつ、検討したものである。日本の立法事業では、フランス法の動向もかなり参酌されており、そのため、共通する部分も多く、かみ合った議論となり、非常に有益であった。なお、この成果は『新世代法政策学研究15号』に掲載されることになっている。 次に、消費者行政の実践面では、引き続き、北海道消費生活審議会の会長を務め、消費者行政の動きを注視し、再考する機会を得た。また北海道本人確認情報保護審議会では、今年度も会長を務めている。 もっとも、既に問題関心は、狭い意味での消費者問題から、当事者の力関係に差がある場合に、民法学はいかなる介入をすべきか、という一般理論に移行しつつある。それを「白紙委任状」という場において究明しようとしたのが、「白紙委任状の濫用と109条責任」(後掲論文)であり、ここでは、学説と異なり、109条責任の成立を限定的に解する判例理論を再検討し、その背景を探ろうとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の基礎的研究の成果として、国際シンポジウムにおいて報告をし、その成果は近々公表される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま研究を着実に継続し、最終年度にその成果をまとめあげる(今年度の国際シンポジウムにおける報告は、近々公表される予定である)。また、これまでの研究を通して、現在芽生えつつある問題関心(それは「白紙委任状の濫用と109条責任」(後掲)で示した)を展開させ、新たな分野の研究に結びつけていきたいと考えている。
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