2011 Fiscal Year Annual Research Report
法的交渉学の観点から見たビジネス紛争和解プロセスの研究
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22530076
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 秀之 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (30107495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 基予 山梨学院大学, 法務研究科, 准教授 (80337477)
安達 明久 富士常葉大学, 総合経営学部, 教授 (10552474)
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Keywords | 民事法学 / 民事訴訟法 / 紛争処理法制 / 法的交渉学 |
Research Abstract |
本研究は、法的交渉学の日米における最先端の研究成果を概観し、法的交渉学が紛争解決に適用される「法制度上の区分」、および「紛争の種類区分」などの観点から、その内容を整理・要約するとともに、その結果を踏まえて、倒産事件等を中心とする我が国における主要なビジネス紛争の類型と適用された交渉パターンの具体的検証を行い、今後の類似紛争解決に当たっての実践的な法的交渉学上の示唆を得ることを目的とする。 平成23年度は、交渉学の観点から「訴訟による紛争解決から交渉による紛争解決へ」という近時の変化について、その意義を分析し、その必要性を明らかにした。 具体的には、1)交渉の基本技法である分配型交渉と統合型交渉を対比 2)経済学(ゲーム理論)、心理学、社会学などの面から、社会科学的かつ多面的に分析 3)交渉と法との関わりについて、弁護士との関係、民事紛争解決制度や調停との関係を通して検討という方法を用いた。この結果、交渉学の観点から訴訟による紛争解決から交渉による紛争解決へと変化していることがより明確になった。なお、この成果は出版社の協力を得て、交渉学および法的交渉学の全体像を体系的に解説した『交渉の作法-法交渉学入門』となり出版することができた。 また、近時、民事紛争解決の諸制度においては、弁護士と依頼人間の関係の変化、訴訟から交渉による紛争解決への重心の移動という大きな変化が生じつつあり、これまで裁判官や弁護士が独占していた民事司法、ないしは民事紛争の解決の領域に、紛争当事者が主体的な形で関与し参加すべきであるという新しい考え方が発生していることの分析を行った。これらの研究の成果は交渉学の基礎理論からわが国の先行研究にもふれるものであり、法的に交渉に関わる方々にとって有益な情報となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定期的に研究会を開催しているため、常に進捗を確認できている。 当初の計画どおり、文献調査、有識者との意見交換による、具体的事例の分析調査も進んでおり、調査結果を類型化、交渉パターンとの対応関係付けの整理も順次進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成24年度は、研究会で議論したことをもとに、研究者および実務家の意見を集約、最先端の法的交渉学を学会、大学院講義、講演などを通じて法曹実務者関係者に発表をし、意見交換を行うことで、さらに研究を充実させていく。
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