2010 Fiscal Year Annual Research Report
保険契約における解約返戻金規整の現代化に関する研究
Project/Area Number |
22530077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
金岡 京子 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (70377076)
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Keywords | 民事法学 / 保険法学 / 解約返戻金 / 片面的強行規定 / 約款規制 |
Research Abstract |
平成22年度は、保険法63条、92条の片面的強行規定の規範が、解約返戻金の合意の効力に及ぼす影響及び民法債権法改正案における約款規制との関係について研究した。解約返戻金の性質及び保険法の片面的強行規定との関係を明らかにするために、解約返戻金に関する裁判例における解約返戻金の性質論について検討し、次に、解約返戻金が保険契約に基づく独自の給付であると解する場合に、保険法54条の任意規定の適用状態に比べ不利な制裁に当たるとして、消費者契約法10条による規制が及ぶか否かという課題に取り組んだ。さらに解約返戻金が中途解除されたときの精算にかかわる付随的給付であると解するとき、保険法の片面的強行規定として定められた保険料積立金と解約返戻金との差額が平均的損害を超える場合には、消費者契約法9条により、その超える部分が無効となる余地について検討した。この場合に、保険法の片面的強行規定が、解約返戻金に関する保険約款の内容規制に対し、どのような規範関係にあるかについて、理論的に研究する必要があった。その比較法的理論研究および立法理論の調査を行うために、ドイツベルリン自由大学法学部に出張し、研究討論、文献調査を行った。 以上の研究の成果として、民法債権法改正で立法化が検討されている約款規制論との関係を踏まえ、研究報告を行い、その内容に関する論文執筆に着手した。
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