2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 顯治 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50222378)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 契約法 / 契約責任論 |
Research Abstract |
平成24年度は、当初計画に従い、我が国の判例・学説および欧米諸国の判例・学説の検討を進めた。特に、市場における契約法の役割・機能を明らかにするためには、経済学的知見を契約法学において参照することが必須であるが、かかる観点に基づき特に欧米における近時の重要な展開を検討する作業を行った。特に、平成23年度の研究を踏まえ、不完備契約論、情報の経済学を踏まえた契約責任論の基本的理論モデルの構築を継続した。この研究は順調に進展を見せている。これらの成果はすでに「契約の経済学と契約責任論」NBL942号、943号や、「関係的契約理論による損害賠償の試み -私的自治の射程」法の理論29号、さらに、「行動経済学と勧誘規制法理」先物取引被害研究37巻等に公表を見ているが、平成24年度はこれらで得られた知見を更に先に進めるべく、モデル構築および論文の執筆に時間を投入した。市場における契約法の機能を検討するにあたっては、特に契約締結時においてはその成否が確率的にしか確定できない「不確実性」の問題、契約当事者間に「非対称情報」が存する場合、さらに、これらの事情を考慮した適切な「インセンティブ付与メカニズム」として契約法を考察するという視点が重要である。平成24年度において執筆した論文はこれらの視点を取り入れた新たな契約責任論の構築をなすものであり、この成果は平成25年度前半において公刊の予定である。また、それに続いて、いくつかの論文を公表する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、平成23年度の研究を踏まえ、欧米理論の検討を進めると共に、具体的に契約法理論にそれを適用し、不確実性の経済学、不完備契約論、非対称情報の経済学を踏まえた契約責任論の基本的理論モデルの構築を行った。この研究はこれまで順調に進展している。さらに、不確実性下における行動経済学的知見を踏まえた理論モデルの構築も進め、これらの内の一部は具体的成果として平成25年度前半に公刊される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、現在における順調な進捗状況に鑑みて、特段の変更の必要性は存しないものと評価しうる。平成25年度においては、平成24年度までに構築した理論モデルを元に、研究成果を前半期において公表する予定である。同時に、このような研究は現在世界的に同時進行形で発展中であり、欧米において現れている近時の研究についても、継続的に分析・検討する予定である。
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