2010 Fiscal Year Annual Research Report
当事者引込み制度の基礎的研究-各国強制参加制度の展開と日本法への示唆
Project/Area Number |
22530087
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
佐野 裕志 専修大学, 法務研究科, 教授 (10145451)
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Keywords | 訴訟参加 / 呼出し / 強制参加 / 担保訴訟 / 訴訟告知 / 補助参加 / 引込み / 参加的効力 |
Research Abstract |
4年計画の研究の1年日であり、計画通りドイツ法での展開を中心に資料を収集し、その分析を行った。 1. 中心として検討したのは、職権での呼出し制度(Adcitation)についてであるが、もともとはローマ法の追奪担保制度が起源となる。追奪を受けた買主が売主に対して、売買代金の2倍額あるいは3倍額の賠償を求めていく場合、第三者からの追奪訴訟において売主に対して買主が訴訟を告知することが要件となっていた。この告知を受けた売主は、追奪訴訟において買主と協力して防御活動を行う義務があり、買主が追奪された場合は、この義務に違反したとして賠償責任を追うという構造であった。この防御義務を基礎とした売主の買主への責任をもとに、その後、追奪訴訟において買主が売主を訴訟に引き込むという制度が生まれてきたものと考えられる。 とりわけフランス法でみられた担保訴訟は、まさにこのローマ法上の追奪担保制度を基礎に置くものであり、追奪訴訟において買主が売主への担保請求訴訟を併せて提起するところまで展開していった。 2. この一方、日本法へ大きな影響を与えたドイツ法では、この売主の防御義務に基づく追奪担保制度を採用しなかった。もともとローマ法においても、防御義務に基づく責任という構造から、その後、売買契約上の義務として、第三者から追奪を受けたということだけで売主の責任を認めることを基礎とする制度へと展開していった。ドイツ普通法時代にも、この追奪という事実を基礎とする売主の責任という体系が維持され、そのままドイツ民法へ、そして日本法へ引き継がれていった。すると、訴訟手続においても、追奪訴訟において買主が売主を訴訟に引き込む必要は必ずしもなくなり、フランス法のような担保訴訟制度が展開することはなかった。 3. 平成22年度は、以上の点の解明を中心にして検討を行ってきたが、対象となる制度が古い時代のものであり、資料面の制約もありまだ検討は必ずしも十分とは言えないので、23年度以降、引き続き、この点の解明を進めていく予定である。
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