2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530094
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山口 亮子 京都産業大学, 法学部, 教授 (50293444)
|
Keywords | 離婚 / 養育費 / 子どもの貧困 / 母親世帯 |
Research Abstract |
単親家庭の子どもの貧困について、その原因と法的課題 日本の3分の1の子どもは貧困状態にある。特に単親家庭の子どもの貧困率は高く、調査でも日本のそれはOECD諸国の中で最も高い国となっている。その原因は3つ考えられる。1つは日本の単親家族の84.5%は母親世帯であり、その平均年収が213万であることである。これは労働市場において女性をパートタイム労働にする傾向にあること、女性の賃金が男性より低くされていることが要因である。2つ目に、日本の社会保障が家庭にかける割合を極めて低くしていることにある。諸外国と比較し高齢者への配分が高く5割を超え、子ども関係を含め家庭支出は3%であり、両親家庭においてさえも支援は低い。3つ目に離婚後の養育費制度が十分でないことにある。離婚後8割は母親が親権者となっているが、父親から養育費を受けているのは2割に満たない。それは、離婚夫婦の9割が取る協議離婚において、親子の問題を自主的に取決めないことと、立法上離婚後は単独親権としているため、離婚後の親子の交流が低く、非親権者による親の義務意識が極めて低いことが原因である。また、親権者も養育費取決め及びその執行を司法に訴えざるを得ず、その煩雑さや司法への敷居の高さから、親権者による養育費獲得への消極的姿勢も影響している。そこでまず、養育費取決め義務化等の協議離婚制度の変革と、欧米のような行政による養育費制度の構築を検討する必要がある。特に後者については行政を通して義務者からの養育費徴収が効果的である。しかし、離婚後の親子関係に関する国民の意識の改革と共同親権法制への立法的課題、税金による行政の任務をこれ以上増やすことについての対費用効果の問題等、解決しなければならない課題は多い。
|
Research Products
(3 results)