2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530102
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
秋葉 悦子 富山大学, 経済学部, 教授 (20262488)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 職業倫理規程 / 医の倫理 / 人格主義生命倫理学 / 終末期医療 / ヒポクラテス |
Research Abstract |
イタリアの医療従事者の職業倫理は、ヒポクラテス以来の「科学と良心」への忠誠を旨とする。イタリアでは最近、医師職業倫理規程に続いて看護師の規程も改訂されたが、そこで特に強調されているのは医療の倫理的次元、すなわち科学的真理を踏まえた専門職の良心的医療の実現である。 具体的な方策として特に注目されるのは、医職の良心の葛藤を解消する手段としての専門的助言制度(生命倫理委員会等)の機能の充実、および各人が良心の葛藤を覚える医療措置から撤退する権利を保障するための「良心条項」の導入である。欧州レベルではイタリア医師会主導で共通の医師職業倫理規程の策定作業が進められており、フランスでは医師職業倫理規程の法制化が実現したが、これらも医職の良心から発した職業倫理を法的に保護しようとする近年の動向の具体的諸相として捉えることができる。 日本では現在、終末期医療のガイドラインを策定する様々な動きが見られる。手続の適正は医療の公平な分配に寄与しうるが、それだけでは真に質の高い医療の実現は期待できない。医職の良心の養成と法的保護を図るための取り組みは日本でも急務であると思われる。 イタリアと同じ伝統的な医の倫理は、少なくとも16世紀には日本の臨床医の間にも伝えられ、以後、実践を通して継承されてきた史実が指摘されている。日本の臨床医の良心をも育んできた伝統的な医の倫理を学問体系化した人格主義生命倫理学を、医療従事者の養成と卒後教育の中に取り入れることは、極めて有益であるように思われる。報告者は今年度、所属大学および長崎大学の医学部、日本救急医学会、日本看護師協会等で、医学生や医療従事者に上述のような医職倫理について話す機会を得、いっそうの情報伝達の必要を痛感した。先頃創設された臨床倫理学会のように、臨床医自身で医の倫理の構築を目指す動きもある。参考に供するため、現在、基本書の翻訳作業中である。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|