2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530109
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
高 榮洙 帝塚山大学, 法学部, 教授 (90412121)
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Keywords | 著作権政策 / ISP責任 / デジタル・ネットワーク時代 / 知的財産推進計画 / 知的財産サイクル / 知的財産戦略本部 / 知的財産の創造、保護、活用 / 共同不法行為責任 |
Research Abstract |
本研究は、デジタル・ネットワーク時代に著作物の創作と利用において、「創作者、利用者、仲介者間の利益調整」を反映させた新たな制度設計を試みるものである。平成22年度の研究成果として、韓国におけるインターネットサービスプロバイダー(Internet Service Provider、以下ISPという)の法的責任の現状の把握と、日本の知的財産戦略本部の知的財産推進計画のうち、著作権政策の評価と課題の分析とにまとめることができる。 前者においては、まずISPの概念について、オンラインサービスプロバイダー(以下OSPという)、情報通信サービス提供者、電気通信事業者のような概念と混用されているが、これらより狭い概念で用いられることが分かった。また、韓国でISPの法的責任の根拠は、ISPのサービス約款、刑法、電気通信事業法及び情報通信網法、民法上の不法行為、共同不法行為責任および教唆・幇助による共同不法行為責任、著作権法などが挙げられるが、最も有力説は、教唆・幇助による共同不法行為責任であり、著作権法上のOSP責任については、責任発生要件方式を採用せず、免責要件方式を取っているため、充分な規制根拠にはならないといえる。 後者においては、2003年から2010年までの日本政府の知的財産推進計画を分析した結果、著作権政策の評価として、政策の政府主導、模倣品・海賊版対策の保護政策の徹底、知的財産保護国としての位置づけの確立、政策の保護面のみならず創造及び活用政策の重要性認識といったことを挙げることができる反面、課題として、著作権政策の体系的なアプローチ(たとえば、創造、保護、活用といった知的財産サイクルによる政策体系)の欠如、知的財産戦略本部の強いリーダーシップの不在、新たな変化に対応する能力の欠如、保護政策への過度な執着、政策評価体制の不足などの研究結果を得た。
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