2010 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済化と中国都市部の公共空間―公共財管理権限の帰属をめぐる政治過程
Project/Area Number |
22530113
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小嶋 華津子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (00344854)
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Keywords | 中国 / 居住区 / 公共 / 住民自治 / 市民社会 |
Research Abstract |
本研究課題に関する平成22年度の研究実績は以下のとおりである。 第一に、居住区の公共財・準公共財の管理および住民自治に関する幅広い先行研究を整理し、中国都市部のケースを分析する際の視角、論点を抽出した。特に、1980年代以降のリベラル・コミュニタリアン論争、社会的「つながり」、「公共性」、「市民社会」、「住民自治」など本プロジェクトのキー概念に関する議論の体系化を試みた。 第二に、本プロジェクトが対象とする中国の都市に関し、住民自治、住民の政治参加という観点から研究を行っている研究者(ex:雷〓(北京市社会科学院)、朱安新(南京大学社会学院))との交流や意見交換を通じ、中国の現状把握に努めた。雷を中心とするチームが北京市の居住区を対象に行った実証研究(23小区の606名の住民に対するアンケート調査を含む)からは、住民の権利意識、政治参加意識について多くの示唆が得られた。また朱が楊州にて行った各種居住区(旧市街、元単位住宅、商品住宅)の住民への意識調査の方法は、本プロジェクトにおいて平成23年度に実施予定のアンケート調査の設計にとっても大いに参考となるものであった。 第三に、平成23年度に実施予定のアンケート調査について、質問票の作成にとりくんだ。その際、居住区を場とするいかなる管理業務や住民サービスに関し、諸アクター(区/県政府・街道弁事虚、社区居民委員会、業主委員会/住宅所有権者、不動産管理会社、党組織、非政府組織/住民ボランティア)のかかわりの理想と現実を問うかが、重要なポイントとなる。現段階では、居住区内の公園や集会所の管理、共用部分の清掃、騒音・ペットの散歩などマナー向上、住民の交流促進イベントの企画などを盛り込む予定である。また、対象とする居住区をニュータウンの商品住宅に限定するのか、それとも旧市街や元単位住宅についても調査するのかを検討中である。
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