2011 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済化と中国都市部の公共空間―公共財管理権限の帰属をめぐる政治過程
Project/Area Number |
22530113
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小嶋 華津子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00344854)
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Keywords | 中国 / 居住区 / 公共 / 住民自治 / 市民社会 |
Research Abstract |
本研究課題に関する平成23年度の研究実績は以下のとおりである。 第一に、本研究の分析視角を精緻化すべく、居住区の公共財・準公共財の管理およびガバナンスに関する思想体系の潮流について知識を深めた。特に、コミュニタリアニズムの思潮について、原典および専門書を収集し、その多様な主張と論点の把握に努めた。 第二に、中国都市部居住区の公共財・準公共財の管理および住民自治に関する政策・実態に関し、内外の先行研究および中国で発行された新聞・雑誌等の文献記事を収集し、整理を行った。 第三に、万鵬飛・北京大学政府管理学院副教授の協力を得て、平成24年2月に、北京市朝陽区の高家園社区および東大橋社区にて、前年度より準備を進めていた住民に対するアンケート調査を実施した(サンプル数:各社区108サンプル、計216サンプル)。本調査の調査票を確定する段階においては、訪中し(平成23年11,月)、万副教授のほか、高丙中・北京大学政府管理学院教授、雷〓・北京社会利学院研究員等にご助言をいただいた。その結果、社区居民委員会および業主委員会との関係(日常的な関係の近接性・活動への参加程度、社区居民委員会選挙/業主委員会選挙への姿勢、社区居民委員会/業主委員会に対する評価など)、社区党組織との関係、社区内の各アクターの相互関係についての認識、社区内の各公共事務についての分業体制についての認識(現状および理想)等について詳細な調査を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究視角の精緻化については、多くの文献を整理したが、依然として体系化には至っていない。 中国の居住区のガバナンスについては、既に分析に十分な資料を収集している。 居住区のガバナンスに対する住民意識調査については、多少調査対象社区の変更はあったものの、平成23年度内に実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度に実施した住民意識調査のデータを早急にデータ・ベース化し、分析を進めることが重要である。また、調査対象社区の一部について、「商品住宅」社区から、かつての「単位住宅」(現在は「商品化」されている)に変更を余儀なくされたため、分析にあたっては、「単位」社会からの歴史的変化をも視野に入れる必要がでてきた。
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