2010 Fiscal Year Annual Research Report
西欧地域における社会的結束をめぐる政策言説と政治過程の変化
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22530118
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
若松 邦弘 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (90302835)
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Keywords | ヨーロッパ政治史 / 比較政治 / 政治過程 / 政策言説 |
Research Abstract |
本年度は、地方自治体(イギリスの地方都市)、国家(イギリス政府)、国際機関(欧州審議会、EU)の3対象について、1990年代以降20年間の関係資料を幅広く収集した。また5月と11月に予定していた現地調査は、このうち後者については別件の調査が11月に組み込まれたため、3月に時期を変更し実施した。なお、11月の調査はイギリス・ロンドンを拠点に行なわれ、その際、本研究に関する資料も一般的なものについては部分的に収集できたことから、日程変更による本研究への影響は最小限にとどめられた。そのため、3月の調査はフランス・ストラスブールに加え、イギリスについてはバーミンガムなど、ロンドン外に重点を置く形で実施した。 これら作業により収集した資料の分析を進めた結果、上記3対象それぞれについて、次年度の作業に向けては、以下の事象を軸とする分析の焦点化が有効であるとの結論に達した。 地方自治体:バーミンガム市政について、1980年代の政策モデルの確立から1990年代後半におけるモデルの交替に至る過程 国家:イギリス政府について、2003年を中心とするブレア政権第二期中盤での政策言説の顕著な変化の過程 国際機関:欧州審議会について、政府間協議の実体的なフォーラムとしての機能が顕著であった1990年代前半から後半において、とくに2000年における新しい政策の立ち上げに至る1993年ごろからの過程 このように顕著な変化は、本研究の時間的射程では中盤の時期に相次いでおり、次年度以降の焦点をここに当てる妥当性が確認できた。 この時期に変化が集中する理由について、現時点での仮説としては、ヨーロッパにおける1990年代初めにおける国際政治経済環境の大きな変化が、若干のタイムラグを経て、国内の政治社会や政治過程にも1990年代後半に実際の影響を与え始め、社会面での政策言説の変化を促進したと見ている。
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