2010 Fiscal Year Annual Research Report
公共サービス供給における事業委託契約とバウチャー制度-制度設計とルール
Project/Area Number |
22530122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後 房雄 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20151855)
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Keywords | 公共サービス / 事業委託契約 / バウチャー / 準市場 / フルコスト / 指定管理者制度 |
Research Abstract |
今年度は、政府行政-民間団体の関係についての理論的研究として、プリンシパルーエイジェンシー理論及び準市場理論を踏み込んで研究した。その最初の成果として、ルグラン『準市場もう一つの見えざる手』の翻訳を刊行し、巻末に私なりの「解説」を執筆掲載した。 また、日本におけるバウチャー(準市場)の事例として、医療保険制度、公的介護保険、障害者自立支援法、検討中の子ども園(仮称)制度などについて各種資料や文献の検討を進めた。義務教育へのバウチャー制度の導入をめぐって激しい論争があることが確認できた。 他方、民間団体側の状況として、日本におけるサードセクター(NPO、各種公益法人、協同組合、地縁組織、社会的企業)の全体像と経営実態についての研究も進め、事業委託、バウチャー制度、指定管理者制度を使う上での課題などを明らかにした。 現地調査としては、アメリカ・ジョージア州の3つの自治体の調査を行った。市長、議員、研究者、職員、民家企業などへの集中的なヒアリングにより、市の業務の全てを民間企業に事業委託するシステムについて詳細を理解することができた。また、それに伴う問題点、改善策などについても理解することができた。注目すべき動向として、当初は一つの民間企業に包括委託する形で開始されたこのシステムについて、数個の包括的業務に分割して公募した方が競争のメリットが大きいということが認識されつつあることが確認できた。 なお、合わせて、現地で紹介されたリーズン財団の資料から、アメリカ全体でのPPPの動向についても把握することができた。 全体として、研究課題について、理論的、実証的に3年間の研究の基礎を築くことができたと考える。
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