2011 Fiscal Year Annual Research Report
公共サービス供給における事業委託契約とバウチャー制度-制度設計とルール
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22530122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後 房雄 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20151855)
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Keywords | 公共サービス / 事業委託契約 / バウチャー / 準市場 / 指定管理者制度 / サードセクター |
Research Abstract |
平成23年度においては、当初予定していた海外調査を行わず、主に国内のさまざまな事例についてのヒアリング調査と論文の執筆などに力を注いだ。 主な作業としては、政府行政と民間団体との関係において、持続可能な形で公共サービスの供給を委託するうえで決定的に重要なフルコスト(間接費も含めた事業の総費用)をいかに算定し、いかに保障するかという課題に取り組み、イギリスの先進事例を翻訳によって紹介するとともに、日本での事例を検討する冊子を作成し、発行した。 さらに、公共サービスの民間実施主体として、特定非営利活動法人だけでなく、各種の非営利法人、協同組合、地縁組織、社会的企業など広くサードセクター諸組織にまで視野を広げ、それらの経営実態を把握する調査を進めた。おなじくサードセクターに属する諸組織においても、組織実態、経営力、収入構造などにおいて予想以上の多様性があることが確認できた。 さらに、事業委託契約、バウチャー制度(公的介護保険、障害者自立支援法、医療保険、準備中のこども園制度)、指定管理者制度などの運用実態を民間団体や行政担当者へのヒアリングを通じて調査した。 これらを踏まえ、サードセクター諸組織に焦点を当てる形で研究成果の一部を論文の形にまとめたところである。 最近は特定非営利活動法人に注目が集まりすぎ、サードセクター諸組織全体を対象とした研究が依然として少ない状況なので、対象の範囲を広げたこと、また、従来外郭団体ないし行政委託型公益法人として批判の対象となってきた諸団体の自律化に向けての課題を明らかにした点で大きな意義をもつと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に予定していた海外調査は24年度に延期したものの、研究の進行中で重要性が浮かびあがったサードセクター諸組織の経営実態やフルコスト・リカバリー(総費用の回収)などについて研究を進め、期待した成果があげられている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度にあたるので、予定している海外調査を行うほか、プリンシパル-エージェント理論に基づいてこれまでの研究成果を取りまとめ、論文の形で公表することを主な課題とする。
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