2012 Fiscal Year Annual Research Report
国立大学法人化をめぐる政治過程:ポスト55年体制期における政策過程の持続と変容
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22530126
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷 聖美 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40127569)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 政策決定 / 非決定 / 不決定 / 戦後改革 / 経路依存性 / 利益政治 / 55年体制 / 政治的エネルギー |
Research Abstract |
この研究の目的は、国立大学法人化という大きな変化を政治学の観点から説明することである。当初は、国立大学の「独立行政法人化」を検討するということが閣議決定された1990年代末期から分析を始めればよいと考えていた。しかし、分析を進めるうちに、名目は何であれ国立大学の法人化が行政改革の一環として実現されたとするなら、それは当然中曽根内閣と臨調の時代に大きな争点として浮上していた方が自然である。にもかかわらず,その時期にはこの問題は政策変化を引き起こすは至らなかったので,その検討が必要になった。さらには、法人化が最初に政府の公式文書で取り上げられた1971年の中教審答申も政治的には当時ほとんどインパクトを残さなかったのはなぜか、しかも、イシューとしてそれは潜在的に生き続け、30年を閲して突然政策決定の表舞台に登場することになったのはなぜか、といった問題意識も強くなっていった。 そこで、今年度の研究期間中、まずは臨調と大学審の動きを中心に資料収集と分析を進めると同時に、71年中教審の答申についても資料収集や分析をおこなった。こうした研究は、政策決定過程論においてともすると無視されがちな「不決定」という問題(非決定と区別される)を理論的に考察する手がかりも与えてくれると考えられる。他方で、法人化というアイデアそのものは、実はGHQによる日本の改革案の中にすでに含まれていたことを発見した。大学の設立を認めるときに用いられるcharteringという言葉には、もともと「法人として認可する」という意味が当然のこととして含まれている。それを、日本側が設置認可と訳した段階で、本来含意されていた法人化の契機が脱落し、国立大学の場合には文部行政上の一機関のようになってしまい、GHQ側もそのことに気がつかないまま占領改革が終わってしまった。こうして、本年度は占領改革にも踏み込んで研究をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)